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ウミトソラノシルス

2025.02.10

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

7罰打を自己申告しながらも3位フィニッシュ

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2024年12月にオーストラリアで開催されたビクトリアンPGA選手権で、
アンソニー・クエイル選手が1ラウンド目に7罰打を課されてしまいました。

この大会では、13番ホールの青線で囲まれた一部でプリファードライの救済を認める追加ローカルルールが出ていたのですが、
クエイルは18ホール全てにプリファードライの救済ができると思い、
その誤りを15番ホールで同伴プレーヤーに指摘されるまで気づきませんでした。

インスタートだったクエイルは、その場でレフェリーを要請し、
そこまで4回誤ってプリファードライの処置をしてしまったと申告。

そのうち、1回は球のあった元の箇所にリプレースしてプレーをし、
3回は球のあった箇所から少し離れた位置にプレースしてプレーをしました。

これによりプリファードライの救済が認められていないフェアウェイで球を拾い上げたので、
1罰打を受けます。
(規則9.4b)

それを元の位置にリプレースしてプレーすればその1罰打で済みますが、
違う場所にプレースしてプレーした場合は規則9.4に違反して誤所からのプレーで2罰打となります。

その結果、インプレ―の球を拾い上げて元の箇所にリプレースした1罰打と
3度違う箇所にプレースした6罰打で合計7罰打を課しました。

そんな厳しいスタートだったにも関わらず、クエイル選手はめげずにプレーを続け、大会を3位でフィニッシュしました。

しかしこの違反がなければ優勝できたと思うとやはり大きな痛手でした。

クエイルは、「追加ローカルルールをちゃんと読まなかった自分に責任がある」とコメントしましたが、
プリファードライが出たときは18ホール全てとは限らず、
数ホール限定の場合もあれば、1ホールのごく一部分のときもあるので、
しっかり読んでからスタートしましょう。

2025.02.10

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

昨年の7月に知り合いのコンペに参加した時のことです。

その日は朝から雨が強かったり、弱かったりで、コースの状態が悪く、
水溜まりが出来ていたホールもありました。

あるホールで、グリーン近くのバンカーに入れてしまったところ、
ボールは水溜まりに入っていました。

私はルールがわからず、あるがままでプレーして脱出に手間取り、
このホールはパー4で10打を叩いてしまいました。

そこで質問ですが、バンカー内の水溜まりに入ってしまった場合は、
救済とかあるのでしょうか?

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございました。

水溜まりは一時的な水であり、異常なコース状態のひとつなので罰なしで救済が受けられます。

この場合、そのバンカー内の水溜まりのない箇所に球をドロップすればよいのですが、
手順としては、まずドロップする救済エリアを定めるために、完全な救済のニヤレストポイントを決めます。

その基点は、バンカー内で球と意図するスタンスとスイングの3つすべてが水溜まりから避けられ、
且つ、元の球よりホールに近づかない箇所
です。

その基点からバンカー内でホールに近づかないワンクラブレングス以内が救済エリアとなります。

拾い上げた球はタオルなどで拭いてから救済エリアにドロップすることができますし、
別の球をドロップすることもできます。

今後に活用して頂ければ幸いです。

2025.01.26

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

クラブ競技に出場して9H終わった後に、肩がガチガチだったので、
ハンディマッサージガンでマッサージしようとしていたら、
同伴競技者に「それは失格になるよ」と指摘されました。

えっそうなの?と思いつつ、その方に聞いたら、
パター練習はいいんだけど、ショットやアプローチの練習はダメで、
素振り棒とかの練習器具を使うのもダメとのこと。

なぜ、マッサージガンもダメなのか、その理由がいまいちわからないので教えてノーリーズ!

よろしくお願いします。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

一般的にラウンド中のハンディマッサージガンの使用は肩こりやどこかの筋肉の痛みなど、
病状を緩和するための理由であれば認められます。
(規則4.3b)

ところが、マッサージガンを使用することによって
飛距離が10ヤード伸びるとか、スイングの矯正になるなど
プレーヤーが不当な利益を得るようなことが理由の場合は
規則4.3の違反となり認められません。

最初の違反の罰は2罰打(一般の罰)で2回目の違反の罰は失格です。

また、ラウンド中にスイング補助器具や素振り棒を振って
スイングの確認やグリップの確認などを行うと違反になります。

しかし、このようなものを一般的なストレッチのために使用すること、
例えば背中を伸ばす、前屈をするなどは認められます。

このように、用具の使用は理由や使い方によって認められたり違反になったりするので、少し複雑です。

これとは別に「パター練習はいいんだけど、ショットやアプローチの練習はダメ」
という内容についてですが、これは規則4.3の用具ではなく、
規則5.5bの「ホール終了後の練習ストロークの制限」に関係しています。

ここにはホールを終えた後に、プレーヤーは練習ストロークを行ってはならないと記載されています。

しかし、これには例外があり、指定練習グリーンでパッティングやチッピングの練習は認められています。

ただし、バンカーショットや打撃練習をすると一般の罰(2罰打)が課されます。

ご参考にしていただけますと幸いです。

2025.01.26

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

正しい処置に対する疑問

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

昨年の1次プロテストE地区のエリエールゴルフクラブ松山での出来事です。

あるプレーヤーは6番ホールのパー4でセカンドショットをラフから打ったところ、
OBの方向に行ったので暫定球をプレーしました。
本来ならば球を救済エリアにドロップして打たなければならないところプレースして打ちました。

そして、パッティンググリーンに到着したときに同伴プレーヤーに
「暫定球をプレーする場合、球はプレースではなくドロップしてからプレーしないといけないんだよ」
と指摘されたため、そのプレーヤーは誤りを訂正しなければならないと勘違いし、
セカンド地点へ戻って、別の球をドロップして打ち直しをしました。

そして、再びグリーン近くに到着したときにようやくルーリングを要請しました。

そのプレーヤーは、
「プレースして打ってきた元の球を拾い上げても良いか」
と質問をしたところ、現場に現れたレフェリーは
「プレースして打ってきた球はもはやインプレーの球ではないので拾い上げても良い」と回答しました。

このケースでは、元の球がインバウンズにあれば罰なしにその球でプレーを続けることができました。
しかし、元の球はOBだったので暫定球がインプレーの球となります。(規則18.3)

ところが、プレーヤーがその球を救済エリアにドロップせずにプレースしてストロークを行ったことで、
規則14.3の処置違反で一般の罰(2罰打)が課されます。

この処置に重大な違反はないため、そのままホールアウトすれば良かったのですが、
更に打ち直しをしてしまったことで、改めてドロップした球がインプレーの球となり、
プレースして打った球はアウトオブプレーとなります。

つまりストロークと距離の1罰打を加えて、
その球でホールアウトしなければいけないことになりました。

その球はパッティンググリーン手前のラフに止まり、
そこからアプローチして1パットでホールアウトしたため、
スコアは10となってしまいました。

規則では、
プレーヤーが適用しない手続きで球をプレースした場合でも
インプレーの球となります。
(規則6.3b(2))

また、その救済処置の誤りを罰なしに訂正することができるのは、
その球をプレーする前のみです。
(規則14.5)

もしプレーしてしまった場合は、2罰打を加えて誤ってインプレーにした球でホールアウトしなくてはなりません。

ラウンド中、正しい処置への疑問が生じた場合、すぐにレフェリーを呼ぶことをお勧めします。

1ストロークで予選を通過したり落ちたりするゴルフ競技では自身のプレーを守る術として、
暫定球の正しい処置は覚えておきましょう。

2025.01.26

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

 

毎週楽しく拝聴させて頂いています。

昨年の9月に行われたマイナビネクストヒロインゴルフツアー第9戦マイナビカップでのことですが、
徳田 葵選手が残念ながらライの改善でペナルティーを受け優勝を逃しました。

ライの改善とみなされるのはボールからどのくらいの距離内なのでしょうか?

Youtubeの映像も見られます。

【解説】

ご質問ありがとうございます。

この件はYouTubeの映像やALBAさんのオンライン記事で確認することができました。

回答から申しますと、
プレーヤーが球の「すぐ近く」の地面を変えて
そのストロークに対して潜在的な利益を得たときにライの改善とみなされます。

規則は具体的な球からの距離は明記していません。

徳田選手の状況を説明しますと、18番ホール、522ヤードのパー5のセカンド地点。
選手の球はフェアウェイに止まり、そのすぐ後ろにはディボット跡に戻されてある切り芝が少し浮いている状態でした。

選手はその切り芝を足で踏み、地面に押し付けてからストロークを行いました。
委員会はその行為をライの改善とみなし、トーナメントリーダーとしてクラブハウスで待っていた彼女に2罰打課しました。

そもそも球のライとは、
球が止まっている箇所と、球に触れているか、球のすぐ近くにある、
成長または付着している自然物、動かせない障害物、不可分な物、境界物のことです。
(定義:ライ)

それに加え、改善とは
プレーヤーがストロークに対して潜在的な利益を得るためにそのストロークに影響を及ぼす状態、
またはプレーに影響を及ぼす他の物理的な状態の1つまたは複数を変えることです。
(定義:改善)

徳田選手の行った行為は、球のすぐ近くにあったすでに所定の位置に戻されている切り芝を足で踏み、
押し付けることによって地面を変え、平らにしたことがストロークに対して潜在的な利益を得たとみなされました。(規則8.1a(3))

このケースではたとえ彼女がストローク前に違反に気付き、
切り芝を元の状態に復元したとしても罰を免れることはできません。(規則8.1c)

本人はパッティンググリーンの損傷を修理するような感覚で地面を踏んだとコメントしていました。

徳田選手の言う通り、
パッティンググリーンとティーイングエリアの地面の修理や改善は認められていますが、
他のコースエリアは一部例外があるものの、
基本的に改善した場合は一般の罰が課されます。
(規則6.2b(3)、13.1c、8.1)

競技に参加するプレーヤーのほとんどは、徳田選手のように痛い目にあって初めて規則を学びます。

そうならないようにこちらのコーナーを通してお役に立てたら嬉しいです。

2025.01.06

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

インプレーの球に触れる
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

9月に開催された山陽新聞レディースカップの1ラウンド目の出来事です。

8番グリーンでルーリング要請がありました。

プレーヤーはパッティングをしようとボールマーカーの前に球をリプレースし、
ボールマーカーを拾い上げました。

それからストロークしようと思いきや、球の向きが狙っている方向より僅かにずれていることが気になり、
その向きを調整しようと無意識に球に触れてしまったのです。

プレーヤーは、「球を動かしてはいないが、その位置で球に触れて少し向きを変えた」と言いました。

本来であれば、ボールマーカーで球の位置をマークしたままでなければ
グリーン上の球を拾い上げたり触れたりしてはいけません。

それはたとえ、球の位置を変えずに故意に触れるだけでも
規則9.4の違反で1罰打となります。

プレーヤーは、「故意ではなく、無意識です」と説明しましたが、
たとえ無意識であっても手で球に触れる行為は故意とみなされてしまいます。

その結果、1罰打を加えた上で、
同じ位置からプレーを続けました。

このようなルーリングはとても稀ですが、
年に1~2度あります。

昨年は富士通レディースの9番グリーンでは、
プレーヤーがマークせずに球を拾い上げてしまうことがありました。

この場合も1罰打で、
球を元の箇所にリプレースしました。

あとでそのプレーヤーに事情を聞いてみたところ、
「グリーンに上がったときに、3打目のサンドウェッジの距離が想定していた距離より4ヤードショートしていたので、
何でだろうと考え込んでいたら、
マークするのを忘れて球を拾い上げてしまった」と言ってました。

プレーヤーたちは、常に多くのことを考え、
判断や決定、ときには反省をしながらプレーしています。

そんな中、
ふとしたことでいつものルーティーンと違う行動を取ってしまうのかもしれません。

それで罰を課されるのは勿体ないので、
インプレーの球に触れる時は、慎重に行いましょう。

2024.12.17

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

ラウンド中にドライバーヘッドが壊れる

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

ソニー日本女子プロゴルフ選手権の2日目に14番ホールでルーリングがありました。

プレーヤーは前のホールでティーショットをした際に、
ドライバーヘッドの上面部分であるクラウンの接着が剥がれて割れてしまったとのことでした。

そのドライバーではもう打てる状況ではなかったので、
どうしたら良いかの質問でした。

規則4.1a(2)には、「クラブがラウンド中に損傷した場合、
クラブを乱暴に扱った場合を除き、そのクラブを修理するか、他のクラブに取り替えることができる」とあります。

つまり、プレー中に怒りに任せてクラブを地面に叩きつけたり投げたりする以外で、
クラブが壊れてしまった場合、他のクラブに取り替えることができます。

しかしJLPGAを含む主だったゴルフ団体は、ローカルルールで
「壊れた、または著しく損傷したクラブの取り替え」を採用している為、
軽度な損傷では取り替えができない制限を設けています。
(ローカルルールひな型G-9)

例えば、シャフトが折れたり、曲がってしまったら取り替えは認められますが、
単にシャフトがへこんでいるだけでは認められません。

クラブフェースは、目に見えて陥没などで変形していれば取り替えられますが、
細い亀裂が入っているだけでは認められません。

今回のケースでは、プレーヤーは通常のプレーでクラブが壊れ、
しかも著しく損傷しているので、クラブの取り替えを認めました。

そこで担当のクラブメーカーさんは、クラブカーからドライバーヘッドを持ってきて、
プレーヤーが18番ティーに来たところで、シャフトから壊れたヘッドを取り外し、
新たなヘッドを取り付けました。

これは同じシャフトを使っているので、修理と思われがちですが、
修理とはラウンドをスタートした時点でそのクラブを構成していたグリップ、シャフト、
クラブヘッドで元の状態に修復することを意味します。

今回のようにクラブヘッドを交換した場合は、
修理の範囲を越えているので取り替えとなります。

このクラブの修理と取り替えの違いを明確にする理由は、
クラブが著しく損傷してなくても修理は可能ですが、取り替えはできないという点です。

このケースのもう一つの注意点は、新たに取り替えたドライバーヘッドについてです。
14番ホールでルーリング要請があったとき、
メーカーさんはドライバーヘッドを新たに取り付けたいと言いました。

それについては問題ないのですが、
レフェリーはその時点で取り付けたいドライバーヘッドをプレーヤーやメーカーさんらが
一緒に持ち運んでいないことを確認しました。

これは規則4.1b(4)の「クラブを追加する、または取り替える場合の制限」にありますが、
ラウンド中にクラブが壊れるかもしれないと心配して、ドライバーヘッドなどの部品を持ち運び、
その部品でクラブを組み立てることを禁じています。

つまりプレーヤーが事前にキャディーバッグに入れてプレーしたり、
クラブメーカーさんがいつでも交換できるようにとプレーを観戦しながら
持ち歩いた部品でクラブを取り替えると違反となります。

何故なら、これを認めてしまうと規則4.1b(1)の「14本のクラブの制限」の効力がなくなってしまうからです。

クラブとは、1本のシャフトにクラブヘッドがついて初めて1本と数えられます。

つまりシャフトだけとかヘッドだけを部品として持ち運んでも
14本のクラブの制限の違反に引っかからないのです。

今回のように、部品として持ち運び、いざ壊れたという時に直ぐに1本のクラブに組み立てて使えてしまうと、
15本のクラブを持っているのと変わらないので、それを制限する為にこの規則があります。

この違反は組み立てて1本のクラブとして追加、
或いは取り替えた時点で一般の罰(2罰打)で2回目の違反は失格となります。

そして違反に気づいたら、次のストロークをプレーする前にプレーから除外する手続きをしなければ、
今度は規則4.1c(1)の失格となります。

このようにクラブの損傷や取り替えには、どのようにして壊れたのか、
著しい損傷なのか、修理なのか取り替えか、取り替える部品は持ち運ばれていないか等、
正しく裁定するまで1つ1つ細かな確認が必要です。

2024.12.17

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

フェアウェイの下のトンネル内に球が止まる

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

クオリファイイングトーナメント(QT)で実際に起こった出来事です。

打ち下ろしのパー4で、プレーヤーのティーショットは右へ飛んでいき、
そのホールのフェアウェイの下を横切っているトンネルに転がっていきました。

トンネルは車が1台通れる大きさでコンクリートが敷かれているため、球はコロコロと転がり続け、
フェアウェイの真ん中あたりの地下でようやく止まり、ルーリングとなりました。

トンネルは障害物なので、トンネルの中で球が止まった場合は、
異常なコース状態からの救済が受けられます。
(規則 16.1b)

そして完全な救済のニヤレストポイントは、球からの水平距離と垂直距離の両方を考慮した上で、
ホールに近づかない球から最も近い救済箇所を決定しなければなりません。
(詳説 16/5)

今回のケースでは、球はトンネルの入り口から11ヤード近く転がり込んでいました。
そしてトンネルは地上であるフェアウェイのすぐ下にあり、
球の位置から推定するとフェアウェイまでの垂直距離は約3メートルでした。

両方の距離を比較しますと、真上の方が近いので、その基点はフェアウェイのほぼ真ん中となりました。
プレーヤーは罰なしに救済エリアに球をドロップしてフェアウェイから2打目をプレーしていきました。

大きなミスショットにも関わらず、異常なコース状態からの救済で、
幸運にもフェアウェイ真ん中からプレーを続けられた珍しいケースでした。

因みに、フェアウェイで基点を取るとき、地下にある球の位置は見えません。
そんな時は、トンネル内で入り口から球まで歩測し、
地上でもその入り口から等距離の11ヤード横に歩けば正しく基点を定めることができます。

いつか参考になれば幸いです。

2024.12.01

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

スコアカード誤記による失格を最小化するために
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年6月にPGAツアーがスコアカード誤記による失格を最小限にする措置としてスコアカード提出に関するルールを
一部修正することを決めました。

ことの発端は今年2月のジェネシス招待でジョーダン・スピースが失格となった出来事です。

スピースはジェネシス招待2日目のラウンド後、スコアリングエリアに直行しスコアカードにサインして提出しました。

しかし、スコアリングエリアから出てすぐに4番ホール、パー3でボギーの「4」だったにも関わらず、
スコアカードには「3」と記したまま提出してしまったことに気づきます。

そのホールの訂正をしようとスコアリングエリアに戻りましたが、
スコアの修正は認められず、彼は失格となりました。(規則 3.3b(3))

そこで、PGAツアーはUSGAやR&A、DPワールドツアーとともに、
プレーヤーがスコアリングエリアを出てから15分間の猶予を設ける新たな規定を発表しました。

PGAツアーが運営する全てのツアーと主要なゴルフ団体によるツアーにおいては、
プレーヤーがスコアリングエリアから出た時が、スコアカードを提出した時と定めています。

JLPGAも赤テープで区切られた提出エリアを完全に離れたとき、スコアカードを提出したものと定めています。

一度スコアカードを提出すると、提出された実際のスコアよりもホールのスコアが少ない場合、
知らなかった罰を含めなかった場合を除き、失格となります。

それが、6月以降のPGAツアーではスコアリングエリアを出たとしても、15分以内であれば、
スコアリングエリアに戻ってスコアを修正することができるようになりました。

また、スコアリングエリアから出たプレーヤーのスコアカードの誤記に競技委員が気づいた場合は、
プレーヤーにその誤りを伝えた時から15分以内であれば、修正可能になります。

PGAツアーのこのルールの修正は大物プレーヤーの失格を防ぐための忖度とも言われており、
「ジョーダン・スピース・ルール」と呼ばれています。

この規則は、AIG Women’s Openでも採用されており、私は初めてR&Aによる原文を見ました。

そこには、例外も書いてあり、次の4つでは、たとえ15分以内だったとしても修正はできません。

それらは、
組み合わせ表が発表された、
プレーヤーが次のラウンドを始めた、
プレーヤーの1人でもプレーオフのためのストロークを行った、
または、競技会の結果が最終となった場合です。

私は時間管理が必要とされるこの新ルールに戸惑ってしまいますが、
プレーヤーにとっては心強い味方なのかもしれません。

2024.12.01

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

パー3のコールオンについて
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年8月に行われたAIG Women’s Openはゴルフの聖地セントアンドリューズで開催されました。

スコットランドの夏は日本に比べればとても寒く、最高気温20度前後、最低気温10度に加え、突然の雨や突風が吹きます。

大会当週は最大18m/s(40mph)の風が予報されており、競技がその風で止まらないよう、
コースセッティング担当のGrant Moir氏はスティンプメーターを9 1/3フィートに設定し、
グリーン刈りをやめてコースをプレーヤブルな状態にしました。

大会2日目、私は11番ホール、165ヤードのパー3を担当しました。

海の横に位置するこのホールはコースの中でも特に風が強く、
パッティンググリーン上に止まっていた球は頻繁に動き、難易度の高いホールでした。

そのため、大会初日は最大4組がそのホールに溜まってしまい、2日目はコールオンが実施されました。

私は10番ホール担当レフェリーのアーニャとやりとりを繰り返し、最終組までコールオンを続けました。

コールオンとは、プレーのペースを改善するために、
パー3でグリーンに球が乗った後に後続組を打たせてプレーを進める手順のことです。

そして3サムの組み合わせだった場合、そのパッティンググリーン上に最大6個の球が乗る可能性があります。

ここでの注意点として、例えばあるプレーヤーがパッティンググリーン上からストロークして、
同じパッティンググリーン上に止まっている別の球に当てた場合、
プレーヤーは一般の罰(2罰打)を受けます。
(規則11.1a 例外)

これは例え止まっていた球が後続組のであったとしても罰は免れません。

なので、通常パッティンググリーン上の後続組の球がプレーの障害になる場合、
前の組のプレーヤーや競技委員がマークしてその球を拾い上げますが今回はR&Aの指示の下、
プレーヤー自身に拾い上げてもらうようにしました。

なぜならパッティンググリーン上に止まっていた球が、風の力で自然にホールに近づく可能性があり、
安易にその球を拾い上げてしまうと球がホールに近づく可能性をそのプレーヤーから奪ってしまうことになるからです。

規則では一度パッティンググリーン上から拾い上げられた球は、
リプレース後に自然の力で動かされたとしてもまた元の箇所にリプレースしなければなりません。(規則13.1d,規則9.6)

このコールオンの効果で11番ホールは最大2組の待ちですみましたが、
その代わりに12番ホールが混み合い、長いティー待ちになっていました。

混み合うパー3でのコールオンはプレーのペースの改善にはなるものの、
規則違反のリスクやプレーヤーの利益を考えると、委員会は安易に実行するものではないと思いました。

今回は特に11番ホールのティーイングエリア付近にトイレが設置されており、
12番ホールのティーイングエリアより待ちやすい環境でした。

結果的にコールオンはしない方が良いと思いました。

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