2025.06.30
Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド
ルーリングに要する時間
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
JLPGA2戦目となるVポイント×SMBCレディスゴルフトーナメントの2ラウンド目で起こったことです。
18番ホール(パー5)のグリーン左側でルーリング要請があり、近くにいたレフェリーが駆けつけました。
プレーヤーはツーオンを狙ったのですが2打目を左に曲げてしまい、グリーンから30ヤード離れた位置に止まりました。
グリーン周りはホスピタリティーテントやスタンドに囲われており、 球とホールの間にはリーダーズボードが介在していました。
プレーヤーはそのリーダーズボードから罰なしで介在の救済を受けられたので、球をあるがままにプレーするか、
臨時の動かせない障害物(TIO)からの介在の救済を受けられるとプレーヤーに説明しました。(ローカルルールひな型 F-23)
ところがプレーヤーではなく、そのキャディーは実際にはホールの左側を狙いたいから、
その狙い目を考えるとレフェリーが示した救済エリアよりも7ヤードほど右側に球をドロップしたいと要求してきました。
このキャディーは外国人で英語しか話せないため、現場で対応したレフェリーの説明が理解できず、
雇った日本人プレーヤーも英語が話せず、どうしてよいか分からずにルーリングが停滞してしまいました。
そこでセカンドオピニオンで私が対応したのですが、キャディーに
「TIOの救済エリアはプレーヤーの狙い目は関係なく、
ホールとリーダーズボードの右端を結んだ線から1クラブレングス離れた箇所が基点となる」
と説明しても納得しません。
キャディーはゴルフ規則を理解しないまま、興奮状態で誤った主張を繰り返すばかりです。
しかしプレーヤーが、キャディーの主張する箇所に球をドロップしてプレーした場合は、
誤所からのプレーで2罰打が付いてしまいます。
そこでプレーヤーに再度、ルールを説明したところ、正しい救済エリアに球をドロップしてプレーを続けました。
結局、このルーリングは18分も要してしまい、18番ホールはティーに2組待ちという大渋滞を招きました。
その結果、プレーの進行が著しく遅れてしまい、予定していた最終組の終了時間は20分超えてしまいました。
プレーヤーやキャディーは、1打が掛かっている中で競技しているのは理解できます。
しかしゴルフ規則を知らないで自身の要求を押し付けるのは誤りです。
ルーリングを要請したのであれば、レフェリーから現場での処置の選択肢や方法を聞いた上で、
次のプレーをどうすべきかを考えて行動に移さなければなりません。
そうでなく、別の場所にドロップを主張してルーリングが長引けば、不当の遅延となります。
プロツアー競技ではプレーの進行が著しく遅れると、
テレビの放送枠、コースのメンテナンス、ラウンド後の練習時間、ギャラリーバスの送迎時間など多くに影響を及ぼします。
それ故、これらの状況も踏まえて行動しなければいけません。