2025.06.11
Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド
外的影響によって木の上になった球が動かされた
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
JLPGAツアー開幕のダイキンオーキッドレディスは沖縄の琉球ゴルフ倶楽部で開催されましたが、
大会3ラウンド目の3番ホールのパー3で起きたルーリングをもとに木の上になった球が動かされた場合の救済と処置を解説します。
あるプレーヤーの193ヤードのティーショットはかなり左に飛んでしまい、
胸ぐらいの高さの小さな木の枝の上に球が止まりました。
試合観戦に来ていたギャラリーの小学生低学年ほどの女の子はプレーヤーの球だと思わず、
手を伸ばしてその球を掴んでしまいました。
周りのギャラリーに注意されたその女の子は動揺して泣いてしまいましたが、
球があった元の箇所を示してくれました。
この場合、女の子は規則上、外的影響になります。
外的影響とはプレーヤーの球、用具、コースに起きることに影響を及ぼす可能性のあるプレーヤーや
そのキャディーを除くすべての人、動物、自然物などを指します。(定義:外的影響)
プレーヤーの球が外的影響によって動かされた場合、
プレーヤーは罰なしにその球を元の箇所にリプレースしなければなりません。(規則9.6)
その箇所がわからない場合は推定位置に戻します。
外的影響が動かした事例は他にもカラスが球を咥えていった、
レポーターが誤ってコースにあるプレーヤーの球を蹴飛ばしたなどがあります。
これもすべて外的影響が球を動かしたことになります。
このケースでは、罰なしに木の上に球をリプレースした後にその箇所からあるがままにプレーすることができます。
しかし、プレーヤーはその球をリプレースの処置を省略して、1罰打でアンプレヤブルの球とみなしました。
アンプレヤブルの球の処置は3つの選択肢があります。
ストロークと距離の救済、後方線上の救済、そしてラテラル救済です。(規則19.2)
プレーヤーはラテラル救済を選択し、球が木の上にあった箇所の真下の地面の地点を基点として、
そこからホールに近づかない2クラブレングス以内の救済エリアに球をドロップすることで処置を終了しました。(規則19.2b)
ホールアウト後、プレーヤーは泣きじゃくる女の子にサイン入りのボールをあげて次のホールへ歩いて行ったそうです。
仮にプレーヤーがストロークを行う前に球が外的影響によって動かされていたことを知らずに
球の止まった箇所からストロークを行った場合、罰はありません。(規則9.2a)
それは、プレーヤーにとって球が動かされたことはストローク前には知らなかった事実であり、
「分かっている、または事実上確実」ではなかったからです。(規則9.2b、定義:分かっている、または事実上確実)