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2024.12.01

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

スコアカード誤記による失格を最小化するために
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年6月にPGAツアーがスコアカード誤記による失格を最小限にする措置としてスコアカード提出に関するルールを
一部修正することを決めました。

ことの発端は今年2月のジェネシス招待でジョーダン・スピースが失格となった出来事です。

スピースはジェネシス招待2日目のラウンド後、スコアリングエリアに直行しスコアカードにサインして提出しました。

しかし、スコアリングエリアから出てすぐに4番ホール、パー3でボギーの「4」だったにも関わらず、
スコアカードには「3」と記したまま提出してしまったことに気づきます。

そのホールの訂正をしようとスコアリングエリアに戻りましたが、
スコアの修正は認められず、彼は失格となりました。(規則 3.3b(3))

そこで、PGAツアーはUSGAやR&A、DPワールドツアーとともに、
プレーヤーがスコアリングエリアを出てから15分間の猶予を設ける新たな規定を発表しました。

PGAツアーが運営する全てのツアーと主要なゴルフ団体によるツアーにおいては、
プレーヤーがスコアリングエリアから出た時が、スコアカードを提出した時と定めています。

JLPGAも赤テープで区切られた提出エリアを完全に離れたとき、スコアカードを提出したものと定めています。

一度スコアカードを提出すると、提出された実際のスコアよりもホールのスコアが少ない場合、
知らなかった罰を含めなかった場合を除き、失格となります。

それが、6月以降のPGAツアーではスコアリングエリアを出たとしても、15分以内であれば、
スコアリングエリアに戻ってスコアを修正することができるようになりました。

また、スコアリングエリアから出たプレーヤーのスコアカードの誤記に競技委員が気づいた場合は、
プレーヤーにその誤りを伝えた時から15分以内であれば、修正可能になります。

PGAツアーのこのルールの修正は大物プレーヤーの失格を防ぐための忖度とも言われており、
「ジョーダン・スピース・ルール」と呼ばれています。

この規則は、AIG Women’s Openでも採用されており、私は初めてR&Aによる原文を見ました。

そこには、例外も書いてあり、次の4つでは、たとえ15分以内だったとしても修正はできません。

それらは、
組み合わせ表が発表された、
プレーヤーが次のラウンドを始めた、
プレーヤーの1人でもプレーオフのためのストロークを行った、
または、競技会の結果が最終となった場合です。

私は時間管理が必要とされるこの新ルールに戸惑ってしまいますが、
プレーヤーにとっては心強い味方なのかもしれません。

2024.12.01

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

パー3のコールオンについて
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年8月に行われたAIG Women’s Openはゴルフの聖地セントアンドリューズで開催されました。

スコットランドの夏は日本に比べればとても寒く、最高気温20度前後、最低気温10度に加え、突然の雨や突風が吹きます。

大会当週は最大18m/s(40mph)の風が予報されており、競技がその風で止まらないよう、
コースセッティング担当のGrant Moir氏はスティンプメーターを9 1/3フィートに設定し、
グリーン刈りをやめてコースをプレーヤブルな状態にしました。

大会2日目、私は11番ホール、165ヤードのパー3を担当しました。

海の横に位置するこのホールはコースの中でも特に風が強く、
パッティンググリーン上に止まっていた球は頻繁に動き、難易度の高いホールでした。

そのため、大会初日は最大4組がそのホールに溜まってしまい、2日目はコールオンが実施されました。

私は10番ホール担当レフェリーのアーニャとやりとりを繰り返し、最終組までコールオンを続けました。

コールオンとは、プレーのペースを改善するために、
パー3でグリーンに球が乗った後に後続組を打たせてプレーを進める手順のことです。

そして3サムの組み合わせだった場合、そのパッティンググリーン上に最大6個の球が乗る可能性があります。

ここでの注意点として、例えばあるプレーヤーがパッティンググリーン上からストロークして、
同じパッティンググリーン上に止まっている別の球に当てた場合、
プレーヤーは一般の罰(2罰打)を受けます。
(規則11.1a 例外)

これは例え止まっていた球が後続組のであったとしても罰は免れません。

なので、通常パッティンググリーン上の後続組の球がプレーの障害になる場合、
前の組のプレーヤーや競技委員がマークしてその球を拾い上げますが今回はR&Aの指示の下、
プレーヤー自身に拾い上げてもらうようにしました。

なぜならパッティンググリーン上に止まっていた球が、風の力で自然にホールに近づく可能性があり、
安易にその球を拾い上げてしまうと球がホールに近づく可能性をそのプレーヤーから奪ってしまうことになるからです。

規則では一度パッティンググリーン上から拾い上げられた球は、
リプレース後に自然の力で動かされたとしてもまた元の箇所にリプレースしなければなりません。(規則13.1d,規則9.6)

このコールオンの効果で11番ホールは最大2組の待ちですみましたが、
その代わりに12番ホールが混み合い、長いティー待ちになっていました。

混み合うパー3でのコールオンはプレーのペースの改善にはなるものの、
規則違反のリスクやプレーヤーの利益を考えると、委員会は安易に実行するものではないと思いました。

今回は特に11番ホールのティーイングエリア付近にトイレが設置されており、
12番ホールのティーイングエリアより待ちやすい環境でした。

結果的にコールオンはしない方が良いと思いました。

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