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2025.11.26

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

ソニー選手権の日没サスペンデット

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

9月に行われたソニー日本女子プロゴルフ選手権大会は大洗ゴルフ倶楽部で開催されました。

132名の出場選手を回すために午前の部と午後の部に分け、
トップは6:20、最終組は12:45にスタートしました。

1Rは雷のため中断となり、サスペンスデットになりました。

1Rを2日目の6:57分にプレーを再開して8:43に終了。

2Rは7:30にスタートしてそのまま、
サスペンデットになった選手は1R終了の約40分後に2Rをスタートしてこの日は18ホール以上プレーすることになりました。

2Rの午後スタートの最終組は13:55だったため、
17:51の日没だとラウンドが終わらない計算になり、日没サスペンデットはほぼ決定していました。

それでも、3日目に2Rを残したくない選手達は脅威のスピードでプレーし、
結果的に残った組はアウト上がりが2組と1人、イン上がりが1組だけでした。

17:43に日没のため、通常の中断のエアホンを鳴らしたとき、
9番グリーンでプレーしていた組のうち2人の選手はホールアウトしてラウンドを終えましたが、
1人はカットラインの+3におり、24ヤードの大事なバーディーパットを残していたため、
プレーを中断することを決めました。(規則5.7b)

その時、セカンド地点にいた後続組は、ホールアウトすることを選び、組の終了する順番が入れ替わることになりました。

通常の中断の場合、その組の選手が1人でもホールをスタートしていたら、
プレーを中断するか、そのホールを終了するか選択することができます。(規則5.7b(2))

プレーを中断することを選んだ1人のカットラインにいた選手は、
マーカーの署名をして他の2人の選手がスコアカードを提出できるようにしました。

担当だった私は、残された彼女のパットをマーカーとして付き添うことになり、
17ホールマーカーしてくれた選手からサインをもらい、そのスコアカードを預かることになりました。

そうすることでマーカーの選手は翌朝プレーを再開するときに現場にいなくても良いことになりました。

3日目の朝、2Rは7:24分にプレーが再開されました。

その再開前の1時間前にその選手のキャディーが練習グリーンで練習器具を使用してパットの練習をして良いかと尋ねてきました。

この場合、問題はありません。

プレーの中断中は委員会が認める指定練習グリーンや打撃練習場で練習して、練習器具を使用しても良いですし、
アドバイスを受けても問題ありません。

それは、規則5.7aに基づくプレーの中断中は
ラウンドの途中ではあってもラウンドをプレーしていることにはならないからです。(規則5.1)

その選手は、7:24分の再開前に9番グリーンに来て一生懸命プレーのラインを読んでいました。

再開のエアホンが鳴った後、意を決したように打ったロングパットはホールに入り、
朝早くから観戦にいらしたお客様は優勝パットかのような盛大な拍手を送っていました。

その選手は+2で見事予選通過し、私はアテストエリアでスコアカードにマーカーとして署名した際に、
彼女が再開前の1時間ずっと24ヤードのパター練習をしていたことを知りました。

あっぱれです。

2025.11.26

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

お世話になります。

ダブルノーリー、タケさん、いつもこのコーナーで学ばせてもらっています。

先日の競技でわからないことが起きたので教えてください。

同伴者からもメールが来ているかもしれませんが、よろしくお願い致します。

同伴者がセカンドショットを左方向に打ってしまい、
ボールは違うホールのティーエリア近く、保護ネットがあってカート道も近い、刈っていない深いラフに。

自分は25ヤードほど前を見ていたのですが、他の人にニヤレストなどを確認してボールをドロップ。

クラブを取りに行ってから、ボール近くで素振りを。

2度目ぐらいの素振りの時にラフにあった違うボール(ロストボール)を打ってしまいました。

本人は「見えなかった。知らなかった。打つ意思は無かった」と言っています。

ペナルティーは付くのでしょうか?

その日はノーペナでスコア登録しました。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、ペナルティーはありません。

球を打つ意思のない練習スイングを行っているときに隠れているロストボールにクラブが当たったとしても
練習とはみなされません。(規則5.5a)

それなので、同伴プレーヤーの「見えなかった。知らなかった。打つ意思は無かった」という主張は
裁定するにはとても重要なポイントになります。

反対に、打つ意思を持って見えているロストボールを打ってしまうと、
規則5.5の違反による一般の罰がそのホールに課されます。

ホールとホールの間に起きた出来事の場合は次のホールに適用されます。

別のケースですが、今年のソニー日本女子プロゴルフ選手権大会の最終日、
16番ホールで、優勝した金澤選手はレフェリーを呼んで何かを確認した姿がテレビに映っていました。

実は、彼女がラフで素振りをしているときに偶然にも松ぼっくりを打ってしまい、
練習ストロークとしてペナルティーが課されるのか確認していました。

そもそも松ぼっくりをクラブで打つこと自体練習ストロークではありませんので(詳説5.5a/1)、
偶然にクラブが松ぼっくりに当たっても罰はありません。

仮に、偶然に打ってしまったロストボールや松ぼっくりがインプレーの球を動かす原因となった場合は
インプレーの球を動かした1罰打(規則9.4b)が課され、元の箇所にその球をリプレースしなければなりません。

ご参考にして頂けますと幸いです。

2025.11.26

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木の上に球が止まってからプレーの中断となる

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

ソニー日本女子プロゴルフ選手権は大洗ゴルフ倶楽部で開催されました。

ここは松の木が多く、ショットを曲げると球が木の枝に止まってしまうことがあります。

1ラウンド目の8番ホール(パー3)では、プレーヤーのティーショットがパッティンググリーン右の松の枝に止まり、
その直後に雷の為、即時中断のエアホンが鳴りました。

この時、球らしき物が枝に止まっていることは確認できたのですが、
プレーヤーはここで球の捜索をすべきか止めるべきかを悩んでいました。

何故なら、ここで球の捜索を続けて、その間に自分の球だと確認できた場合、
翌朝にプレーの再開をするとき、たとえ夜の間に風で球が地面に落ちていたとしても
木の枝に止まっていた場所にあったものとしてプレーを続けなければならないからです。(規則5.7d(2))

これが、球の確認を行っていなかった場合、翌朝の捜索時間内にプレーヤーの球が木の下のラフで発見されれば、
そこからプレーを続けることになります。(規則18.2a)

ちなみに、球の捜索はプレーの中断となっても行うことができ、捜索を打ち切らない限り3分間の時計は止まりません。

そのため、3分間の捜索時間が終了した時に球が見つからなければ、
プレーの中断中であっても、その球は紛失となります。(詳説18.2a(1)/1)

一見、すぐに球を確認しない選択肢の方がお得な感じがするかもしれませんが、リスクも伴います。

それは、翌朝のプレー再開前に球が木の枝の上にも木の下のラフにもない場合、
プレーヤーの球は紛失球となり、ストロークと距離の救済が唯一の選択肢になります。

そのため、アンプレヤブルの球の選択肢はなくなります。

結果的にこの選手は、プレーの中断のときに球の捜索を止め、翌朝まで待ちました。

すると、捜索を始めてからプレーヤーの球らしきものが木の枝の上にすぐに見つかり、
ペットボトルを投げてその球を落とそうとしましたが、結局、捜索時間内には確認することはできませんでした。

プレーヤーはストロークと距離の1罰打のもと、ティーイングエリアに戻ってプレーを再開することになりました。

2025.11.03

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

久しぶりにメッセージします。

先日、ライの改善の話がありましたが、以前、草むらにボールが隠れているのをボールが見えるところ迄、
手では触れずにアイアンで草刈りして、ボールを打っている某会社の会長さんがいました。

勿論、これはペナルティーになるかと思いますが、一体これは何罰打になるのでしょうか?

過去にはティーイングエリアでデベソを注意したら白のティーマーカーを動かしたこともあります!

兎に角、この会長さんは独自のルールを作るので、一緒にラウンドすると周りは困ってしまいます。

大変なんですよね~!

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

たとえプライベートのゴルフだとしても、このような会長さんとのプレーは大変だとお察しします。

まず1つ目の質問です。

実際の状況を見ていないので明確には答えられませんが、罰なしか2罰打のいずれかになります。

規則7.1aには、「球の捜索において、球を見つけて確認するために合理的な行動をとることができ、
その行動には草、ブッシュ、木の枝、その他の生長または付着している自然物を動かすこと、
曲げること、そのような物を壊すことが含まれます。

ただし、球を見つける、または確認するために合理的な行動をとったが、結果として壊してしまった場合に限ります」

このようにフェアな捜索をした上で、ストロークに影響を及ぼす状態を改善した場合、
その改善がフェアな捜索の結果であれば罰はありません。

しかし、改善がフェアな捜索の為に合理的な限度を超えた行動の結果である場合、規則8.1aの違反に対して2罰打となります。

ご説明にあったように、草むらに隠れている球を見えるところまでアイアンで草刈りしたのであれば、
合理的な限度を超えた行動である可能性は高く、違反と裁定されるでしょう。

2つ目の質問ですが、ティーイングエリアでティーアップした球がティーマーカーより前にあり、
それを注意したらティーマーカー自体を球の前に動かしてティーショットしたということですね。

これは規則6.2b(4)の「ティーイングエリアからプレーするときにティーマーカーを動かすことの制限」に書かれていますが、
プレーヤーがティーイングエリアからストロークをする前にティーマーカーを動かすことによって
ストロークに影響を及ぼす状態を改善した場合、規則8.1aの違反に対して2罰打を受けます。

しかし、このケースでは、プレーヤーはティーアップした場所がティーイングエリアの前にあり、
それを直すために、ティーアップの位置を動かさず、
ティーマーカーを動かすことによってティーイングエリアに球があることにしたならば、
委員会は規則1.2aのゲームの精神に反する重大な非行として失格とすることができます。
(詳説6.2b(4)/1)

2025.11.03

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球が空中に飛ぶことなく地面にくいこんだ場合

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

AIG女子オープンの2ラウンド目。

今、注目のロッティー・ウォード選手が16番ホール(パー4)でルーリング要請をしました。

イギリス生まれのウォードはアマチュアからプロに転向した初戦のスコティッシュオープンで優勝し、
AIGでも優勝候補に挙げられていました。

そんなウォードは16番ホールの2打目をミスショットし、
グリーン右手前の膝近くまであるフェスキューのラフにすっぽり隠れてしまいました。

そこから3打目で横のフェアウェイに出そうとストロークしたのですが、
球はフェスキューの中に覆われたまま同じ場所にとどまりました。

その球がラフに埋もれたままの状態だと確認したウォードはレフェリーを呼び、
「自分の球はラフの中でくい込んでいるように思う」ということで、
罰なしで地面にくい込んだ球の救済を求めたのです。

しかしレフェリーはストロークをした時に球が空中に飛んでいないことを確認し、その場合であれば、
「たとえ球が地表面以下にあったとしても、地面にくい込んでいることにはならず、罰なしの救済は受けられない」
と伝えました。

これは規則16.3a(2)に記載されており、
例えば、誰かに踏まれて球が地面に押し込まれた場合や、
救済を受けるときにドロップした球が地面にくい込んだ場合も、
同様に地面にくい込んだ球の救済は受けられません。

ウォードはあるがままの状態でプレーすることは困難と判断し、アンプレヤブルとみなしました。

そして球とホールを結んだ20ヤード後方まで下がり、
カートやギャラリーが歩いて踏みつけられてできた自然道に球をドロップしました。

これは規則19.2bの後方線上の救済で1罰打をスコアに加えます。

ウォードはこの地点からホールまで58ヤードある距離を5打目でグリーンに乗せ、
2パットでこのホールをトリプルボギーとしました。

そんなトラブルに見舞われたウォードですが、
2日目の強風の中でスコアを落としたのはこの16番ホールと11番ホールのボギーのみ。

他のホールではバーディーを6つ取って順位を上げました。

多くの選手がスコアを崩す中、この日を通算-2の11位タイで終え、最終的に通算-4の8位タイで大会を終えました。

女子ゴルフ界は、ウォード選手のように海外でも若手の活躍が目覚ましく、ツアーに大きなインパクトを与えています。

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