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ウミトソラノシルス

2025.05.15

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

くい込んだ球の判断と処置

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

JLPGAツアー開幕のダイキンオーキッドレディスは沖縄の琉球ゴルフ倶楽部で開催されましたが、
そこで起きたルーリングをもとに「くい込んだ球の判断と処置」を解説します。

琉球ゴルフ倶楽部の芝はコーライでラフはティフトンが混じっていることにより、
ラフに打ち込んでしまうと球全体が沈んでしまい、とても難しいショットになります。

そして球全体がラフに沈むと、プレーヤーは地面にくい込んでいるのではないかと確認のためルーリングを呼ぶことが多々あります。

実際、トーナメント初日の1番ホール左ラフでくい込んだ球かの確認でルーリングに呼ばれました。
状況を調べてみると、その球は地表面よりも下にはなかったため、救済は認められませんでした。

このルーリングが今年JLPGAツアー最初のルーリングで、立ち会った私はファーストペンギンになりました。

ファーストペンギンとは
ペンギンの群れの中から天敵がいるかもしれない海に魚を求めて最初に飛び込む勇敢なペンギンなのですが、
それに比喩して委員会はこれから始まる長いシーズンの最初にルーリングに立ち会った競技委員にその名称を与えます。

委員会の慣例でファーストペンギンはご飯をご馳走してもらえます。

それはさておき、そもそも
地面にくい込んでいる球で罰なしの救済が認められるのはジェネラルエリアにある球、
例えばラフやフェアウェイ、カラーにある場合のみです。

そして、プレーヤーの直前のストロークの結果作られた自らのピッチマークの中にあり、
その球の一部が地表面以下にある場合です。
(規則16.3a(1)(2))

稀に、フェアウェイに転がった球が別のプレーヤーの作ったピッチマークに入ってしまうことがあります。

そのような場合は罰なしの救済はありません。

そのため、後からプレーするプレーヤーへの配慮とコースの保護を目的として
フェアウェイなどでも自ら作ったピッチマークはストロークした後に修復することをお勧めします。

プレーヤーは球が地表面を割っているのか確認するのに、
球をマークして拾い上げることができます。
(規則16.4)

このときに拾い上げた球を拭くことはできませんので注意が必要です。(規則16.4)

球を拾い上げた後、ピッチマークが地表面以下にあるのか目視で判断できない場合、
ライを改善しないように気を付けながら、手で地面に触れて確認することがあります。

この時点で救済が認められないと判断すれば、その球を元の箇所にリプレースします。

救済が認められる場合は、球が地面にくい込んでいる直後の箇所を基点として、
ホールに近づかない、1クラブレングスのジェネラルエリアに球をドロップすることによって
救済を受けることができます。

このときに球を拭いたり取り替えたりすることもできます。(規則14.3a、14.1c)

2023年から新たに追加された詳説に球の直後の箇所がジェネラルエリアではない場合の救済があります。(詳説16.3b/1)

このような状況は、球がジェネラルエリアにくい込んでおり、
球の直後の箇所がバンカー、ペナルティーエリア、またはアウトオブバウンズの場合があります。

このような状況ではホールに近づかないジェネラルエリアの箇所を見つけるために
左右や後ろに幾らかの距離を取ることが必要となるかもしれません。

くい込んだ球の処置を覚えていただけるとご自身のプレーに役立つことがあるかもしれません。

2025.05.15

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

笠りつ子選手のRPAの処置について

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

VポイントxSMBCレディスの2ndラウンド、13番ホールで起きたルーリングが大きなニュースになりました。

13番ホールは大会を通して難易度の高い390ヤードのパー4で、
ホールの左側はグリーンの奥まで続くレッドペナルティーエリアでした。

笠選手のティーショットはそのレッドペナルティーエリアに入り、ラテラル救済の処置を自ら行いました。

2クラブレングスの救済エリアの芝地はペナルティーエリアの方に傾斜していたため、
ドロップした球はペナルティーエリアを定める線の近くまで転がりましたが、
救済エリア内に止まったため、正しくインプレーになりました。

ところが、彼女は意図するスタンス区域がペナルティーエリアにかかったため、
再ドロップが必要と勘違いし、その球を拾い上げてしまいました。

2回目のドロップ後も同様に球を拾い上げ、2回目にドロップしたときにその球が最初に地面に触れた箇所に球をプレースしました。

そこからアドレスをしたところ、意図するスタンス区域がまたペナルティーエリアにかかったため、競技委員を要請しました。

立ち会った競技委員は選手から
「ラテラル救済の処置のためドロップを2回して球が止まらなかったので、2回目に球をドロップしたところにプレースしたのですが、
スタンスがレッドペナルティーエリアにかかります。これは大丈夫なのでしょうか?」
と質問されたため、
「意図するスタンス区域がペナルティーエリアにかかっていても球が救済エリア内にあればインプレーです」
と答えてルーリングは終了しました。

そして、彼女は誤った箇所にプレースした球をプレーしたことで、後に誤所からのプレーの一般の罰が課されました。(規則14.7a)

もし、競技委員が要請された現場でその誤りに気づくことができたら、ストロークを行う前でしたので、
1回目のドロップで球が止まった箇所にリプレースしてその誤りを訂正することができました。(規則14.5)

そうすることで、誤所からのプレーの一般の罰は免れることができますが、
例えその処置をしたとしても、インプレーの球を動かした規則9.4の違反による1罰打を免れることはできません。

そのため、レッドペナルティーエリアの1罰打を含む合計2罰打の4打目としてプレーすることができました。

しかし、実際は、3rdラウンドで最終組が終盤のホールに入った頃、委員会は大会関係者より前日の笠選手の誤った処置を知りました。

彼女に確認したところ、球をドロップした後はペナルティーエリアにスタンスがかかってはいけないと思い込んでおり、
その誤りに気づきました。

彼女は1回目のドロップで正しくインプレーになった球を拾い上げ、
その球が止まった箇所にリプレースせずに誤所からプレーしたので、一般の罰を受けます。(規則9.4、14.7)

競技終了前に発覚した事実だったので、委員会はそのホールのスコアに含めるべきであった罰打を加え、
2ndラウンドの13番ホールのスコアを「6」から「8」に修正しました。(規則3.3b(3))

この件に関して非常に残念なポイントが3つあります。

1つは笠選手自身が要請前に行った処置の誤りに気付き、立ち会った競技委員に伝えてほしかったことです。

2つ目は立ち会った競技委員も選手が行った処置を一から具体的に聞いてほしかったことです。

3つ目はJLPGAから発表された「視聴者による指摘で発覚したルール違反」という内容です。

2021年以降、JLPGAは一般視聴者によるルール違反の指摘は受け付けない方針にしていますが、
大会関係者がモニターを見て気づいた違反を「視聴者」という誤解を招く言葉で表現したことで訂正が入り、
問題を更に大きくしてしまいました。

また、この件で「選手は失格ではないか」という質問を多く受けましたが、これは大きな誤りです。

選手は委員会から指摘されるまで自身の誤りに気づいておらず、
今回のように競技終了前に発覚した場合は
そのホールのスコアに含めるべきであった罰打を加えることでホールのスコアを修正します。

もし、競技終了後に発覚した場合は、
競技が終了する前に選手は罰を受けていたことを知らなかったため、
「6」で提出したスコアは訂正してはなりません。
(規則20.2e(2))

つまり、13番ホールのスコアは6のままで罰打を加えることなく、また失格にもなりません。

アマチュアの模範であるプロゴルファーはゴルフ規則を知っておくべきですが、プロも人間ですので勘違いや失敗もあります。

当然のことながら心無いコメントに傷付きます。
どうか温かい目でプレーヤーを見守って頂けますと幸いです。

2025.05.15

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

質問です。OBの球をOB区域と知らずに打ってしまった場合の処置です。

Aさんはティーショットを打ちましたが、OBラインも見える場所に打ち込んだ為、暫定球を打ちました。

セカンド地点に行ってみるとコース脇に1打目の球が見えたので、
その球を打ちましたが、同伴プレーヤーから打った地点はOB区域との指摘を受けました。

よく見るとその境界線を越えていました。この場合の処置を教えて下さい。

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

本来、初めの球をOBに打ってしまった場合、暫定球がインプレ―の球となり、
その球でプレーを続けなければなりません。

それを誤ってOB区域にある球をプレーしたことにより誤球として規則6.3cの違反で2罰打を受けます。

プレーヤーはセカンド地点にあるインプレーとなった暫定球でプレーを続けることになりますが、次が6打目となります。

打数の数え方としては、初めの球をティーショットして1打、
それがOBに行ったのでストロークと距離の罰で1罰打を足します。

それなので暫定球としてプレーしたティーショットは3打目となります。

本来ならセカンド地点から4打目となりますが、誤球の2罰打を加えて6打目となります。

ここで間違えやすいのは、誤球でプレーしたストロークをカウントしてしまうことですが、
そのストロークはカウントしません。

ご参考になれば幸いです。

2025.04.28

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

2028年から適用される新たな球の規格

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

シーズンオフに行われた勉強会でゴルフ用具に関する講習がありました。

その中で、2028年に導入される新たな球の規格について触れたので、皆様にも共有したいと思います。

この規則は2023年発表当初、2028年からローカルルールとして導入されるとのことでしたが、
現在は一般のゴルフ規則として導入されると決定しました。

しかし一般アマチュアについては2年間の猶予期間があり、2030年1月1日から適用となります。

それ以外のプロ競技やエリートレベルのアマチュア競技では、
2028年1月1日から修正された標準総合距離(ODS)のテストをクリアした適合球を使用しなければ違反となります。

新たな球の規格とは、現在使用されている球よりも”飛ばない球”を適合球として定めることです。

飛ばないと言っても、その差はプレーヤーのヘッドスピードと飛距離によって変わります。

例えば、ドライバーショットでは一般のアマチュアで5y以内、女子プロで5~7y、
男子プロで9~11y、最も飛ぶプレーヤーは13~15yとされています。

では何故、この改訂が必要なのか。

それは、近年のプレーヤーの飛距離が著しく伸び続けていることで、コースが対応しきれなくなっているのが主な原因です。

特に男子ツアーではドライバーで300yを軽く超える選手が増え、
パー4でのセカンドショットはショートアイアンばかりで、本来のゴルフゲームの挑戦の要素が薄れてしまいました。

またパー5では2打で届いてしまうため、ツーオン待ちが長くなりプレーのペースにも影響が出ています。

これらを改善するためにはコースを長くするしかなく、それには土地や改修工事のコスト、
更に芝のメンテナンスや水もより必要となります。

しかし多くのコースでは、そのような改修は現実的でなく、環境問題にも繋がるので、
問題解決の一助として、R&AとUSGAは球によって達成される距離への制限に着目しました。

男子プロは、1980年代から現在までの飛距離を比較すると約40ヤード、
つまり1年で約1ヤードずつ伸びているというデータがあります。

これはPGAツアーの男子プロのロングヒッターから得たデータであり、
今後何も手立てをしなければこのペースで伸び続けると予測しています。

この改訂はその伸びを緩やかにすることで、今あるコースを改修することなくプレーできることを期待しています。

この新たな球の規格とは、クラブヘッドスピードが125mph(55.5m/秒)と打ち出し角11度、
バックスピンが毎分2220回転でテストしたときに、球の標準総合距離(ODS)の制限が317ヤード(+3ヤードの許容誤差)、
つまり320ヤード以内であれば適合球とされます。

このクラブヘッドスピードの125mph(55.5m/秒)と定めた理由は、
2023年のPGAツアーのロングヒッターの上位25選手のボールスピードの平均が183mph(81.3m/秒)で、
そのボールスピードを出すには125mph(55.5m/秒)のクラブヘッドスピードとのことです。

現在の球の規格のクラブヘッドスピードが120mph(53.3m/秒)と打ちだし角10度、
バックスピンが毎分2520回転で320ヤード以内と比較すると、数値上、制限が厳しくなっているのが分かります。

適合球と認められた球は、2028年1月から適合球リストに掲載され、
適合球であると分かるための識別マークを付けることが検討されています。

2025.04.17

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誤球されたために球が紛失

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2020年日本女子プロゴルフ選手権の1ラウンド目に起こった出来事です。

6番ホール(パー5)で、プレーヤーAのティーショットは左ラフへ飛んでいきました。

同伴プレーヤーBとCがセカンドショットをしている中、Aは左ラフを捜索していたのですが、
あるはずの球は見つからず3分の捜索時間が経ってしまったため、
紛失球となりティーに打ちに戻っていきました。

改めてティーショットをしてセカンド地点に戻っている間、BとCは3打目地点へ歩いている途中で
ドライクリークの手前のラフで球を見つけました。

それは球を捜索していた地点から約20ヤード前だったのですが、確認してみるとそれはBの球でした。

つまりBはAの球を自分の球だと思い込み誤球をしていたのです。
ここでルーリングとなりました。

本来であれば、誤球されたプレーヤーは罰なしに、
打たれた箇所に球をリプレースしてプレーを続ければよいのですが、
このケースではAはBによって誤球されていたことを知らずに球の捜索をしました。
(規則 6.3c(4))

当然、球は打たれてしまっているので、探しても見つかるはずもないのですが、
規則では3分の捜索時間が終わったときに、
Bによって誤球されていたことが「分かっている、または事実上確実」でなければ、
Aの元の球は紛失となってしまいます。
(定義:分かっている、または事実上確実/3)

Aはストロークと距離の罰のもと、ティーに打ちに戻った球でプレーを続けなければならず、
セカンド地点から4打目をプレーしていきました。

一方、Bは誤球の2罰打を受け、セカンド地点にあった自分の球でプレーを続けました。

Bは自身の球の捜索はしていないので紛失とはならず、セカンド地点から4打目をプレーしていきました。

このケースはAにとって非常に不運でしたが、
この教訓として、他のプレーヤーのショットの行方もちゃんと見て、自分の球と同じような場所に止まったときは注意する。
または自分だけ色の違うカラーボールを使うなどしてトラブルを回避することが考えられます。

2025.04.17

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

タケさん、ダブルノーリー先生、おはようございます。

TikTokで、コースの大きな池かクリークの横に留まっている巨大なワニの頭の上にボールが乗っている動画が流れてきました。
本当にプレーヤーの打球なのかも確認できないし、そもそも近づけないと思います。

こういう場合、プレーはどのように続けるのでしょうか?

日本にワニはいませんが、国内ならキツネがボールを咥えて逃げて行く動画を見たこともあります。
仮にキツネやカラスが咥えたボールをそのまま使うのはエキノコックスなどの病気が怖いです。

プレーヤーの安全が最優先で間違いないと思いますが、お二人の見解をお聞かせくださいませ。

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

TikTokでその動画を見つけました。

池の脇の芝地でお昼寝をしているワニの頭に球が乗っているのですが、そのワニは微動だにしません。
そのすぐ側で、もう一匹のワニが池の中で大きな口を開けていました。

まずプレーヤーの球かどうかの確認ですが、
打ったショットが池に入ったことが分かっているか事実上確実なのであれば、
1罰打で最後にペナルティーエリアを横切った地点からペナルティーエリアの救済が受けられます。

もし池に入ったことが分からないのであれば、
ワニの近辺を捜索したりワニの頭にある球が自分のであるかを確認しなければなりません。

これは距離計測器や双眼鏡などを使って確認することもできますが、
3分間の捜索時間内に分からなければ紛失となります。

仮に、ワニの頭に乗っているのが自分の球だったとします。

その場合、ワニは危害を及ぼす可能性のある動物なので、
規則16.2に基づいて罰なしに「危険な動物の状態」から救済が受けられます。

救済方法は、異常なコース状態と変わらず完全な救済のニヤレストポイントを基点として、
ホールに近づかないワンクラブレングス以内に球をドロップします。

この場合の完全な救済のニヤレストポイントは、
球がある同じコースエリアで危険が存在しないホールに近づかない最も近い地点となります。

ワニはジェネラルエリアの芝地にいるので、ジェネラルエリアで基点を定めますが、
この動画ではおそらくワニから10ヤード離れたホールに近づかない辺りが安全かと思います。

そこに基点を決めたらワンクラブレングス以内の救済エリアに
別の球をドロップしてプレーを続けることが出来ます。

キツネの場合、危険な動物ではないのでワニのように規則16.2では扱いませんが、
球を咥えて動かされたときは規則9.6の「外的影響が拾い上げた、動かした球」が適用します。

この場合、動かされた球は元の位置にリプレースしなければなりません。

リプレースなので、初めの球がすぐに取り戻せる場合は、その動かされた球でリプレースしなければいけませんが、
感染の危険があるという理由で、委員会は別の球でリプレースを認めることができます。

2025.04.17

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明らかに不合理な場合、救済はない

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2019年WGC Mexicoのファイナルラウンドで起きた2つのカート道に関するルーリングがあり、
両方とも似た状況だったにも関わらずダスティン・ジョンソン選手は救済が認められ、
ロリー・マキロイ選手は認められなかったことで話題になりました。

そして救済が認められたジョンソンはこの試合を優勝しました。

1つ目のルーリングはジョンソンの5番ホールのセカンドショットです。

彼のティーショットは右に曲がり、木の根元付近に球が止まりました。

木の右40センチほどのところにカート道があり、ジョンソンがフェアウェイに球を戻すには右足がカート道にかかる状況でした。

立ち会ったレフェリーは救済を認め、
完全な救済のニヤレストポイントからホールに近づかない1クラブレングスの救済エリアに球をドロップしました。(規則16.1b)

すると、グリーンへ向かってプレーするには邪魔になっていた木が全く関係のないところに救済が受けられたので、
彼は目標をグリーンに変えてナイスオンしました。

救済後にプレーの線を変えることは認められます。

2つ目のルーリングはマキロイの6番ホールのセカンドショットです。

彼のティーショットは右に曲がり、木の根元でグリーン側に球が止まりました。

木の左から50センチほどのところにカート道があり、
マキロイは隣のホールへ右打ちをすると右足がカート道にかかるとルーリングに立ち会ったレフェリーにアピールしました。

しかし右足がカート道にかかる状態で普通にバックスイングしようとすると木の幹が邪魔になり現実的でなく、
右足をカート道から外したスタンスの方が、バックスイングが可能な状況でした。

レフェリーは彼が主張するプレーの線は救済を受けたいがためのものであり
明らかに不合理と判断し、救済を認めませんでした。(規則16.1a(3))

すると、マキロイ選手はそれを受け入れ、木の根元にある球を左打ちでプレーしているホールのフェアウェイに戻しました。

この左打ちだとカート道は障害になっていませんでした。

マキロイの救済が認められなかったポイントは「明らかに不合理」という言葉です。

ほとんどの無罰の救済では、あるがままに球をプレーすることができない場合や
プレーヤーが明らかに不合理なクラブ、スタンスやスイングの種類、
プレーの方向を選択することでのみ障害が生じる場合は救済が認められません。

そのため、プロの試合では無罰の救済が認められるかが際どい場合、
プレーの方向やスタンス区域、スイング区域をデモンストレーションしてもらうことがあります。

小さな隙間を狙って打つと言われれば、その技術を持っているので救済を認めます。

しかし、明らかに不合理な場合、例えば木が密集していて、球が1つしか通らないような隙間は認めません。

このようなルーリングは難しいため、レフェリーはセカンドオピニオンを呼ぶこともあります。

2025.03.25

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

業界のコンぺでの事。
前半4、5ホール目のグリーン上でプレーが終わった私が同伴者のパターカバーを拾ってあげようとした時
「あっ、そのまま置いておいてください」と、、

その後も見ていたら必ずカップの先5mぐらいにパターカバーを置いているのです。(最後までそうでした)。

フックラインは少し右目に、スライスラインは左に、、、
失礼ながらさほどお上手な方ではないので目くじらを立てることはなかったのですが、
公式競技の場合ペナルティーになるのでしょうか?

ボールに線を引いてラインを合わせるのと同じと見て罰はないのでしょうか?ご教授お願いします。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。とても興味深い事例です。

解答から申しますと、同伴競技者の方は、そのパターカバーを目標として置いたすべてのストロークに対して
規則 10.2b(3)の違反により一般の罰(2罰打)が課されます。

それはストロークを行う前にその物を取り除いたとしても罰は免れません。
また、この規則は
目標を定める以外にもスタンスをとる、スイングをすることを援助するために物を置いた場合も適用されます。

例えば、足を置くことになる場所を示すために地面にクラブを置いた場合、
たとえストロークを行う前にそのクラブを取り除いても2罰打が課されます。

「物を置く」とは物が地面に接していて、そのプレーヤーがそのものに触れていないことを意味します。
また同様の目的のために行動、例えばスイングの援助とするために
プレーヤーが砂や露に印をつけるなどに対してもこの規則は適用します。

もう1つの質問で球に線を引いてラインを合わせるのと
物を置いてプレーの目標にすることは同じかということですが、それは異なります。
まず、球に線を引くことに問題はありません。

また球をリプレースしたり、プレースするときにその球を置く方向や向きは自由です。(定義:リプレース)

それなので、ラウンド中に球に引かれた線を使用して
パッティンググリーン上でプレーの線に合わせてストロークすることに問題はありません。

2025.03.25

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球があるコースエリア 〜ティーイングエリア編

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

このオフシーズンの1月に某ゴルフ場で2時間ほどのルール基礎編の講習会を開催しました。

35名ほどのメンバーさんが集まり、球があるコースエリアを正しく理解することの重要性を感じました。

そこで、今日は特定のコースエリアでも
プレーヤーがプレーするホールをスタートするときに使用しなければならないティーイングエリアについてお話しします。

そもそも、
「プレーヤーがプレーするホールをスタートするときに使用しなければならないティーイングエリア」
と長いタイトルである理由は、それ以外のティーイングエリアはジェネラルエリアだからです。
(定義:ティーイングエリア)

例えば、プレーヤーの使用するティーイングエリアが白のティーマーカーだった場合、
そのホールの赤ティーマーカーのティーイングエリアや他のホールのティーイングエリアはジェネラルエリアになります。

また、赤のティーマーカーや他のティーマーカーは動かせる障害物になります。

ティーイングエリアは奥行き2クラブレングスの長方形です。

前の縁は2つのティーマーカーの最も前方を結ぶ線によって定められ、
横の縁は2つのティーマーカーの外側から後方の線によって定められます。
(定義:ティーイングエリア)

例えば、あるトーナメントでプラモデルの飛行機がティーマーカーだったのですが、
その飛行機は小さな土台から機体と翼がはみ出ていて、ホールに向かって飛び立とうとしているように設置されていました。

この場合、ティーイングエリアの前の縁は飛行機の鼻の先端部分であり、
外側の縁は翼の先端になり、土台の部分ではありません。

そして、球がティーイングエリアにあるとは、
球の一部がティーイングエリアに触れている、またはその上にある場合です。
(規則6.2b(1))

USGAの講師はこのティーイングエリアを説明するときに”Promise Land”、
つまり「約束されたエリア」と名付けていました。

何が約束されているのかというと、このエリアに球がある場合、
いつでもその球を拾い上げてエリア内の違う場所からストロークを行うことができ、
ティーアップすることも許されているということです。
(規則6.2b(5))

それは、エリア内にある球がインプレーであるかに関わらず動かしたとしても無罰です。(規則6.2b(6))

例えば、ティーショットを打とうとしたときに空振りをしてしまって、
その風圧で球がティーから落ちてティーイングエリア内に残ったとします。

その球を拾い上げて、再度ティーアップすることができます。

このケースでは空振りだったとはいえ、ストロークはカウントするので、次に打つストロークは2打目になります。

他にも、ティーショットが木に当たって跳ね返り、その球がまたティーイングエリアに止まったとします。
この場合も次のストロークを打つ前にその球を拾い上げてティーアップしたりエリア内の他の場所から打つことができます。

もう一つ約束されていることは、
ティーイングエリアの地面に限りますが、
ストロークを行う前に改善したとしても罰はないということです。
(規則6.2b(2))

例えば、ティーイングエリアの地面を押しつけて平らにしたり、砂や土を取り除いても罰はありません。

もし、ティーイングエリアの外からストロークをしてしまった場合、
ストロークプレーではそのプレーヤーに2罰打が課され、次のホールをスタートする前に訂正しなければなりません。

訂正しなかった場合は失格になります。(規則6.1b(2))

このように、ティーイングエリアの注意点と定義を理解することでプレーヤーの選択肢が広がりますので、
覚えていただけると嬉しいです。

2025.03.25

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問1】

バンカー内でのレーキの取り扱いについて教えてください。

コンペの時のことです。

バンカーの外周から遠い所にボールがあったので、プレーの進行を早めるために、
レーキをバンカー内に持ち込んだところ、同伴者にプレーを止められ、バンカーの外にレーキを出されました。

僕は、当然良い処置だと思いましたが、この処置の良し悪しと、バンカー内のレーキを持ち込む時の注意点を教えてください。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、バンカー内にある球のショットを打つ前に
レーキやクラブをプレーに関係のないところでそのバンカー内に置いても違反ではありません。

プレーのペースにも大きく影響しますので、レーキは近くに持っておいた方が良いでしょう。

また、球のところまで歩いている最中に自分の足跡をバンカーレーキで消しながら行くのも
コースの保護を目的としているため、罰はありません。
(規則12.2b(2))

ただし、プレーの線や球のライに影響するところは、ストロークを行なってから均して下さい。

改善とみなされてしまうと2罰打が課されます。(規則8.1a)

【質問2】

おはようございます。押忍、拓大OB応援団の爺さんです。
爺さんは、コース管理のパートで働いています。

さて、バンカーレーキの置き方で質問です。

1.グリーン側に均す先(Tの字に)バンカー外側に並行して両サイドに置く。
2.バンカー内側に斜めに立てかけて置く。
3.バンカー内に置く。

ルールがあるのか知りたいです。

コース管理で働く爺さんは、1番が整備しやすく良いと思います。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

レーキの置く位置は1番を推奨します。

このグリーン側に均す先(Tの字に)バンカー外側に並行して両サイドに置く方法は、JLPGAも採用しています。

プレーヤーがレーキを手に持ちやすく、バンカーのメンテナンスもしやすい、
そして、球の動きに最も影響を及ばさないところに置くことで問題がないからです。

例えば、球がよく飛んでくるセカンド地点のクロスバンカーは
フェアウェイ側にレーキを置くのではなく、そのバンカーを跨いだ反対のラフ側に置くと良いです。

ただし、あまりにもプレーヤーから遠いところに置くのはそのレーキを取りに行くのに時間がかかります。

そこはレーキを置くセンスが問われるところです。

ご質問者様の2番目と3番目の提案はバンカー内にレーキを置くことですが、
その場合、球がバンカーの外で方向を変えられることはまず起きないと言えるため一見良さそうです。

しかし、レーキをバンカー内に置くプレーヤーはたいていバンカー内の側面に置くため、
そうすると球がバンカーの平らな部分に転がっていくのを止めてしまう傾向があり、
結果的に難易度の高いショットになったり、救済箇所がなくなったりします。

フェアプレーの観点からはあまりおすすめできません。

バンカーレーキの置き方や置く場所にルールはなく、各委員会やコースさんの決定事項になります。

しかし、規則ではレーキがバンカーの外で
球の動きに最も影響を及ぼさないと思われる場所に置くことを推奨しています。

(一般的なプレーのためのコースマーキング2D)

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