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ウミトソラノシルス

2025.03.25

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

業界のコンぺでの事。
前半4、5ホール目のグリーン上でプレーが終わった私が同伴者のパターカバーを拾ってあげようとした時
「あっ、そのまま置いておいてください」と、、

その後も見ていたら必ずカップの先5mぐらいにパターカバーを置いているのです。(最後までそうでした)。

フックラインは少し右目に、スライスラインは左に、、、
失礼ながらさほどお上手な方ではないので目くじらを立てることはなかったのですが、
公式競技の場合ペナルティーになるのでしょうか?

ボールに線を引いてラインを合わせるのと同じと見て罰はないのでしょうか?ご教授お願いします。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。とても興味深い事例です。

解答から申しますと、同伴競技者の方は、そのパターカバーを目標として置いたすべてのストロークに対して
規則 10.2b(3)の違反により一般の罰(2罰打)が課されます。

それはストロークを行う前にその物を取り除いたとしても罰は免れません。
また、この規則は
目標を定める以外にもスタンスをとる、スイングをすることを援助するために物を置いた場合も適用されます。

例えば、足を置くことになる場所を示すために地面にクラブを置いた場合、
たとえストロークを行う前にそのクラブを取り除いても2罰打が課されます。

「物を置く」とは物が地面に接していて、そのプレーヤーがそのものに触れていないことを意味します。
また同様の目的のために行動、例えばスイングの援助とするために
プレーヤーが砂や露に印をつけるなどに対してもこの規則は適用します。

もう1つの質問で球に線を引いてラインを合わせるのと
物を置いてプレーの目標にすることは同じかということですが、それは異なります。
まず、球に線を引くことに問題はありません。

また球をリプレースしたり、プレースするときにその球を置く方向や向きは自由です。(定義:リプレース)

それなので、ラウンド中に球に引かれた線を使用して
パッティンググリーン上でプレーの線に合わせてストロークすることに問題はありません。

2025.03.25

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

球があるコースエリア 〜ティーイングエリア編

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

このオフシーズンの1月に某ゴルフ場で2時間ほどのルール基礎編の講習会を開催しました。

35名ほどのメンバーさんが集まり、球があるコースエリアを正しく理解することの重要性を感じました。

そこで、今日は特定のコースエリアでも
プレーヤーがプレーするホールをスタートするときに使用しなければならないティーイングエリアについてお話しします。

そもそも、
「プレーヤーがプレーするホールをスタートするときに使用しなければならないティーイングエリア」
と長いタイトルである理由は、それ以外のティーイングエリアはジェネラルエリアだからです。
(定義:ティーイングエリア)

例えば、プレーヤーの使用するティーイングエリアが白のティーマーカーだった場合、
そのホールの赤ティーマーカーのティーイングエリアや他のホールのティーイングエリアはジェネラルエリアになります。

また、赤のティーマーカーや他のティーマーカーは動かせる障害物になります。

ティーイングエリアは奥行き2クラブレングスの長方形です。

前の縁は2つのティーマーカーの最も前方を結ぶ線によって定められ、
横の縁は2つのティーマーカーの外側から後方の線によって定められます。
(定義:ティーイングエリア)

例えば、あるトーナメントでプラモデルの飛行機がティーマーカーだったのですが、
その飛行機は小さな土台から機体と翼がはみ出ていて、ホールに向かって飛び立とうとしているように設置されていました。

この場合、ティーイングエリアの前の縁は飛行機の鼻の先端部分であり、
外側の縁は翼の先端になり、土台の部分ではありません。

そして、球がティーイングエリアにあるとは、
球の一部がティーイングエリアに触れている、またはその上にある場合です。
(規則6.2b(1))

USGAの講師はこのティーイングエリアを説明するときに”Promise Land”、
つまり「約束されたエリア」と名付けていました。

何が約束されているのかというと、このエリアに球がある場合、
いつでもその球を拾い上げてエリア内の違う場所からストロークを行うことができ、
ティーアップすることも許されているということです。
(規則6.2b(5))

それは、エリア内にある球がインプレーであるかに関わらず動かしたとしても無罰です。(規則6.2b(6))

例えば、ティーショットを打とうとしたときに空振りをしてしまって、
その風圧で球がティーから落ちてティーイングエリア内に残ったとします。

その球を拾い上げて、再度ティーアップすることができます。

このケースでは空振りだったとはいえ、ストロークはカウントするので、次に打つストロークは2打目になります。

他にも、ティーショットが木に当たって跳ね返り、その球がまたティーイングエリアに止まったとします。
この場合も次のストロークを打つ前にその球を拾い上げてティーアップしたりエリア内の他の場所から打つことができます。

もう一つ約束されていることは、
ティーイングエリアの地面に限りますが、
ストロークを行う前に改善したとしても罰はないということです。
(規則6.2b(2))

例えば、ティーイングエリアの地面を押しつけて平らにしたり、砂や土を取り除いても罰はありません。

もし、ティーイングエリアの外からストロークをしてしまった場合、
ストロークプレーではそのプレーヤーに2罰打が課され、次のホールをスタートする前に訂正しなければなりません。

訂正しなかった場合は失格になります。(規則6.1b(2))

このように、ティーイングエリアの注意点と定義を理解することでプレーヤーの選択肢が広がりますので、
覚えていただけると嬉しいです。

2025.03.25

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問1】

バンカー内でのレーキの取り扱いについて教えてください。

コンペの時のことです。

バンカーの外周から遠い所にボールがあったので、プレーの進行を早めるために、
レーキをバンカー内に持ち込んだところ、同伴者にプレーを止められ、バンカーの外にレーキを出されました。

僕は、当然良い処置だと思いましたが、この処置の良し悪しと、バンカー内のレーキを持ち込む時の注意点を教えてください。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、バンカー内にある球のショットを打つ前に
レーキやクラブをプレーに関係のないところでそのバンカー内に置いても違反ではありません。

プレーのペースにも大きく影響しますので、レーキは近くに持っておいた方が良いでしょう。

また、球のところまで歩いている最中に自分の足跡をバンカーレーキで消しながら行くのも
コースの保護を目的としているため、罰はありません。
(規則12.2b(2))

ただし、プレーの線や球のライに影響するところは、ストロークを行なってから均して下さい。

改善とみなされてしまうと2罰打が課されます。(規則8.1a)

【質問2】

おはようございます。押忍、拓大OB応援団の爺さんです。
爺さんは、コース管理のパートで働いています。

さて、バンカーレーキの置き方で質問です。

1.グリーン側に均す先(Tの字に)バンカー外側に並行して両サイドに置く。
2.バンカー内側に斜めに立てかけて置く。
3.バンカー内に置く。

ルールがあるのか知りたいです。

コース管理で働く爺さんは、1番が整備しやすく良いと思います。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

レーキの置く位置は1番を推奨します。

このグリーン側に均す先(Tの字に)バンカー外側に並行して両サイドに置く方法は、JLPGAも採用しています。

プレーヤーがレーキを手に持ちやすく、バンカーのメンテナンスもしやすい、
そして、球の動きに最も影響を及ばさないところに置くことで問題がないからです。

例えば、球がよく飛んでくるセカンド地点のクロスバンカーは
フェアウェイ側にレーキを置くのではなく、そのバンカーを跨いだ反対のラフ側に置くと良いです。

ただし、あまりにもプレーヤーから遠いところに置くのはそのレーキを取りに行くのに時間がかかります。

そこはレーキを置くセンスが問われるところです。

ご質問者様の2番目と3番目の提案はバンカー内にレーキを置くことですが、
その場合、球がバンカーの外で方向を変えられることはまず起きないと言えるため一見良さそうです。

しかし、レーキをバンカー内に置くプレーヤーはたいていバンカー内の側面に置くため、
そうすると球がバンカーの平らな部分に転がっていくのを止めてしまう傾向があり、
結果的に難易度の高いショットになったり、救済箇所がなくなったりします。

フェアプレーの観点からはあまりおすすめできません。

バンカーレーキの置き方や置く場所にルールはなく、各委員会やコースさんの決定事項になります。

しかし、規則ではレーキがバンカーの外で
球の動きに最も影響を及ぼさないと思われる場所に置くことを推奨しています。

(一般的なプレーのためのコースマーキング2D)

2025.03.07

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

強風のための中断

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年1月に開催されたPGAツアーのファーマーズインシュランスオープン2日目は、
強風でパッティンググリーン上の球が止まらないために午後2:05に競技が中断されました。

委員会は中断中にパッティンググリーンを散水した後、午後3:30に再開しましたが、
そのラウンドは日没サスペンデットになりました。

大会はカリフォルニア州サンディエゴ市にあるトーリーパインズで開催され、
予選ラウンドは北コース18ホールと南コース18ホールが使用されていました。

この風はサンタアナの風が影響しており、常時6m/s(15mph)、最大13m/s(30mph)の突風が吹き荒れていました。

本来、中断中にパッティンググリーン上の球を止まりやすくするために散水して、
プレーのコンディションを人為的に変えることはほとんどありません。

しかし強風の中、競技を続けるための有効な手段として委員会は実行したと思われます。

風の影響で競技を中断する具体的な基準はないもののガイダンス(推奨)はあります。

そこには、「パッティンググリーン上で風によって、
例えば3つ以上の球が動かされたということはプレーを中断する理由になる」とあります。
(競技中6E(2)d)

しかし2024年のAIG Women’s Openがセント・アンドリュースで行われた際、
強風で3つ以上のグリーンで3つ以上の球が動いていましたが、競技を中断することなくプレーは続けられました。

規則書のガイダンスを定めているR&Aが、そのガイダンスを無視して強風での競技を強行するのは矛盾がありますが、
そこには大会を開催する諸事情や難しさがあります。

また強行できたのは、2019年に改訂されたパッティンググリーン上の規則で、
プレーヤーが罰を受けることが少なくなり、荒天の中でもプレーを続けやすくなったことも挙げられます。

例えば、プレーヤーがパッティンググリーン上で一度マークして拾い上げ、
リプレースした球が風の影響で動いたとしても、無罰で元の箇所にリプレースになります。

それでも風で動いた球を元の箇所かその近くにリプレースしようとしても止まらない場合は、競技を止めるべきです。

例えば、リプレースした球が元の箇所に2度試しても止まらない場合、ホールに近づかない、
その箇所から最も近いパッティンググリーン上かジェネラルエリアの箇所に球をプレースするのですが(規則14.2e)、
この処置で1メートルも離れたところが救済箇所であったり、
カラーにしか球が止まらない場合などはフェアなプレーに問題があるといえますので、中断を考えるべきです。

JLPGAの競技で風によって中断したケースは非常に稀です。

過去には、2009年のフジサンケイレディスの最終日のあるホールで、
ホールから1mに止まっていた球が強風で20m転がってカラーまで行ったことがありました。

この時は強風が収まる見込みがないという理由で中止となりました。

近年の異常気象による猛暑や強風、大雨など荒天の中競技をする場合、
どのように運営するのか難しい問題になりそうです。

2025.03.07

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

組でプレーすること

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

数年前のクオリファイイングトーナメントで起こった出来事です。

2ラウンド目のスタート直前に、ツーサムの組のプレーヤーAが、
1ラウンド目での自身の処置について疑問があったので競技委員に質問しました。

事情を聞いたところ、Aは誤球をプレーして正しく処置をしなかったことで、その場で失格となってしまいました。

急遽、2ラウンドに進むことができなくなり、同伴プレーヤーだったはずのBは一人でプレーすることになりました。

するとスコアカードのマーカー役がいないので、事務局のスタッフに帯同してもらうことになりました。

しかしこの人は集計所を担当するため、後半のハーフは付いていけません。

そこで委員会は、ハーフターンでその前の組のスリーサムから一人移ってもらうようにお願いしました。

前の組のプレーヤーに事情を説明し、快諾してもらうと、
後半は両組ともツーサムとなり、プレーヤー同士でマーカーとなることができました。

このようにラウンドの途中で組を変えたケースは初めてでした。

本来であれば、プレーヤーはラウンド中に委員会が設定した組を変えることはできません。(規則 5.4b)

もしプレーヤーが正当な理由なく勝手にペアリングの組を変えてプレーした場合、
委員会がその変更を承認する場合を除き、規則5.4の違反で失格となります。

また委員会も特別な事情なく、ラウンド中に組を変えることはしません。

しかしこの時はスタート直前に失格者が出てしまい、
競技運営やプレーのペースなどの諸事情を鑑みてハーフで組を変えた稀なケースでした。

2025.02.24

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ローカルルールひな型G-9の変更

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2024年8月、コロラド州で開催されたBMWチャンピオンシップの最終日。

マット・フィッツパトリック選手は使用しているドライバーのフェースに僅かな亀裂があることに気づき、
8番ティーでルーリングを要請しました。

プレーヤーは他のドライバーに取り替えることができると期待したのですが、
立ち会ったレフェリーは「確かに亀裂は確認できるが、取り替えが認められるほど著しい損傷ではない」と裁定し、
このドライバーで残りのホールでプレーを続けるか、修理のみが認められると伝えました。

さすがに修理はできないので、亀裂の入ったドライバーで打つか、
スプーンなどのクラブで代用するしかなくなったプレーヤーは、抗議の意味も込めてドライバーでティーショットをしました。

案の定、打った球は本来の球筋とは程遠く、飛距離も全く出ていませんでした。

そしてレフェリーに、「こんなティーショットしか打てないクラブのどこが認められないのだ」と抗議したのでした。

そんな事例があり、R&AとUSGAは2025年1月1日にゴルフ規則に新たな詳説を追加しました。

これは従来のローカルルールひな型G-9の「壊れた、または著しく損傷したクラブの取り替え」に置き替わり内容を緩和したもので、
これまで取り替えが認められなかったクラブヘッドやクラブフェースの目に見える亀裂は、
著しい損傷として取り替えを認めることにしました。

他にも、クラブヘッド内部のカタカタ音やシャフトに凹みや捻じれがある場合も、
取り替えを認めることになりました。

因みに取り替えるクラブは、損傷してプレーから除外するものと類似のクラブでなければなりません。

つまりドライバーが損傷して取り替えたい場合は、別のドライバーでなければならないということです。

2025.02.10

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

7罰打を自己申告しながらも3位フィニッシュ

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2024年12月にオーストラリアで開催されたビクトリアンPGA選手権で、
アンソニー・クエイル選手が1ラウンド目に7罰打を課されてしまいました。

この大会では、13番ホールの青線で囲まれた一部でプリファードライの救済を認める追加ローカルルールが出ていたのですが、
クエイルは18ホール全てにプリファードライの救済ができると思い、
その誤りを15番ホールで同伴プレーヤーに指摘されるまで気づきませんでした。

インスタートだったクエイルは、その場でレフェリーを要請し、
そこまで4回誤ってプリファードライの処置をしてしまったと申告。

そのうち、1回は球のあった元の箇所にリプレースしてプレーをし、
3回は球のあった箇所から少し離れた位置にプレースしてプレーをしました。

これによりプリファードライの救済が認められていないフェアウェイで球を拾い上げたので、
1罰打を受けます。
(規則9.4b)

それを元の位置にリプレースしてプレーすればその1罰打で済みますが、
違う場所にプレースしてプレーした場合は規則9.4に違反して誤所からのプレーで2罰打となります。

その結果、インプレ―の球を拾い上げて元の箇所にリプレースした1罰打と
3度違う箇所にプレースした6罰打で合計7罰打を課しました。

そんな厳しいスタートだったにも関わらず、クエイル選手はめげずにプレーを続け、大会を3位でフィニッシュしました。

しかしこの違反がなければ優勝できたと思うとやはり大きな痛手でした。

クエイルは、「追加ローカルルールをちゃんと読まなかった自分に責任がある」とコメントしましたが、
プリファードライが出たときは18ホール全てとは限らず、
数ホール限定の場合もあれば、1ホールのごく一部分のときもあるので、
しっかり読んでからスタートしましょう。

2025.02.10

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

昨年の7月に知り合いのコンペに参加した時のことです。

その日は朝から雨が強かったり、弱かったりで、コースの状態が悪く、
水溜まりが出来ていたホールもありました。

あるホールで、グリーン近くのバンカーに入れてしまったところ、
ボールは水溜まりに入っていました。

私はルールがわからず、あるがままでプレーして脱出に手間取り、
このホールはパー4で10打を叩いてしまいました。

そこで質問ですが、バンカー内の水溜まりに入ってしまった場合は、
救済とかあるのでしょうか?

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございました。

水溜まりは一時的な水であり、異常なコース状態のひとつなので罰なしで救済が受けられます。

この場合、そのバンカー内の水溜まりのない箇所に球をドロップすればよいのですが、
手順としては、まずドロップする救済エリアを定めるために、完全な救済のニヤレストポイントを決めます。

その基点は、バンカー内で球と意図するスタンスとスイングの3つすべてが水溜まりから避けられ、
且つ、元の球よりホールに近づかない箇所
です。

その基点からバンカー内でホールに近づかないワンクラブレングス以内が救済エリアとなります。

拾い上げた球はタオルなどで拭いてから救済エリアにドロップすることができますし、
別の球をドロップすることもできます。

今後に活用して頂ければ幸いです。

2025.01.26

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

クラブ競技に出場して9H終わった後に、肩がガチガチだったので、
ハンディマッサージガンでマッサージしようとしていたら、
同伴競技者に「それは失格になるよ」と指摘されました。

えっそうなの?と思いつつ、その方に聞いたら、
パター練習はいいんだけど、ショットやアプローチの練習はダメで、
素振り棒とかの練習器具を使うのもダメとのこと。

なぜ、マッサージガンもダメなのか、その理由がいまいちわからないので教えてノーリーズ!

よろしくお願いします。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

一般的にラウンド中のハンディマッサージガンの使用は肩こりやどこかの筋肉の痛みなど、
病状を緩和するための理由であれば認められます。
(規則4.3b)

ところが、マッサージガンを使用することによって
飛距離が10ヤード伸びるとか、スイングの矯正になるなど
プレーヤーが不当な利益を得るようなことが理由の場合は
規則4.3の違反となり認められません。

最初の違反の罰は2罰打(一般の罰)で2回目の違反の罰は失格です。

また、ラウンド中にスイング補助器具や素振り棒を振って
スイングの確認やグリップの確認などを行うと違反になります。

しかし、このようなものを一般的なストレッチのために使用すること、
例えば背中を伸ばす、前屈をするなどは認められます。

このように、用具の使用は理由や使い方によって認められたり違反になったりするので、少し複雑です。

これとは別に「パター練習はいいんだけど、ショットやアプローチの練習はダメ」
という内容についてですが、これは規則4.3の用具ではなく、
規則5.5bの「ホール終了後の練習ストロークの制限」に関係しています。

ここにはホールを終えた後に、プレーヤーは練習ストロークを行ってはならないと記載されています。

しかし、これには例外があり、指定練習グリーンでパッティングやチッピングの練習は認められています。

ただし、バンカーショットや打撃練習をすると一般の罰(2罰打)が課されます。

ご参考にしていただけますと幸いです。

2025.01.26

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

正しい処置に対する疑問

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

昨年の1次プロテストE地区のエリエールゴルフクラブ松山での出来事です。

あるプレーヤーは6番ホールのパー4でセカンドショットをラフから打ったところ、
OBの方向に行ったので暫定球をプレーしました。
本来ならば球を救済エリアにドロップして打たなければならないところプレースして打ちました。

そして、パッティンググリーンに到着したときに同伴プレーヤーに
「暫定球をプレーする場合、球はプレースではなくドロップしてからプレーしないといけないんだよ」
と指摘されたため、そのプレーヤーは誤りを訂正しなければならないと勘違いし、
セカンド地点へ戻って、別の球をドロップして打ち直しをしました。

そして、再びグリーン近くに到着したときにようやくルーリングを要請しました。

そのプレーヤーは、
「プレースして打ってきた元の球を拾い上げても良いか」
と質問をしたところ、現場に現れたレフェリーは
「プレースして打ってきた球はもはやインプレーの球ではないので拾い上げても良い」と回答しました。

このケースでは、元の球がインバウンズにあれば罰なしにその球でプレーを続けることができました。
しかし、元の球はOBだったので暫定球がインプレーの球となります。(規則18.3)

ところが、プレーヤーがその球を救済エリアにドロップせずにプレースしてストロークを行ったことで、
規則14.3の処置違反で一般の罰(2罰打)が課されます。

この処置に重大な違反はないため、そのままホールアウトすれば良かったのですが、
更に打ち直しをしてしまったことで、改めてドロップした球がインプレーの球となり、
プレースして打った球はアウトオブプレーとなります。

つまりストロークと距離の1罰打を加えて、
その球でホールアウトしなければいけないことになりました。

その球はパッティンググリーン手前のラフに止まり、
そこからアプローチして1パットでホールアウトしたため、
スコアは10となってしまいました。

規則では、
プレーヤーが適用しない手続きで球をプレースした場合でも
インプレーの球となります。
(規則6.3b(2))

また、その救済処置の誤りを罰なしに訂正することができるのは、
その球をプレーする前のみです。
(規則14.5)

もしプレーしてしまった場合は、2罰打を加えて誤ってインプレーにした球でホールアウトしなくてはなりません。

ラウンド中、正しい処置への疑問が生じた場合、すぐにレフェリーを呼ぶことをお勧めします。

1ストロークで予選を通過したり落ちたりするゴルフ競技では自身のプレーを守る術として、
暫定球の正しい処置は覚えておきましょう。

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