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ウミトソラノシルス

2026.01.23

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

ラウンドの意味

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

昨年10月のスタンレーレディスホンダゴルフトーナメントは東名カントリークラブで開催されました。

その最終ラウンドは濃い霧に覆われたため、いつスタートできるのかわからない状態でした。

大会本部では、54ホールの完遂を目指すために最終ラウンドは18ホール行うことを優先順位としていましたが、
当初7:30スタート予定だったのが、9:50には出場選手のセカンドカットを実施することが決まり、
とうとう10:40には9ホールの短縮ラウンドが決まりました。

通常、9ホールのみを実施する場合、TVやギャラリースタンドが設置されているインコースをプレーしますが、
12番ホールと13番ホールは標高の高いところにあるため、霧が晴れる気配がなく、
朝からコース状況を見ていた競技委員会は、9ホールをプレーすることもままならないと心配になりました。

そこで委員会は、12番ホールと13番ホールを除き、
その代わりに霧の影響が少ない1番ホールと9番ホールを足した変則9ホールでラウンドすることを
主催者やテレビ、運営に提案したところOKが出ました。

スタートホールは1番ホールで、次がいきなり9番ホールなのですが、隣同士なので移動に問題はありません。

そこからインコースへ入っていき、10番ホール、11番ホールと進み、11番グリーンから14番ティーへの移動も歩ける距離でした。

そのあとは18番ホールまで順番どおりに9ホールをプレーすることを選手やキャディーに伝え、11:30にスタートすることができました。

ラウンドとは、委員会が設定した順番でプレーする18(またはそれ以下)のホールです。(規則5.1)

現状、JLPGAではシステムの都合で9ホール単位でしかラウンドを短縮することができませんが、
本来規則では3ホール、5ホール、12ホールでも委員会が決定すればラウンドとして認められます。

2013年にバハマで開催されたUSLPGAの試合でも、
豪雨の影響でプレーできるホールが限られ、1ラウンドを12ホールの短縮競技で開催しました。

このときもプレーするホールの順番は、10-6-7-4-5-11-12-13-14-2-3-8と変則でした。

ラウンド数やホール数というのは競技の条件で定められていますが、
スタンレーやUSLPGAの試合のように、
悪天候により、スタートしていないラウンドのホール数はその状況に対処するために変更することができます。
(オフシャルガイド5A(8))

これからの荒天を考えますと、ラウンドも柔軟に対応していかなくてはならないと思った2025年のシーズンでした。

2026.01.23

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クラブを除外する手続き

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

昨年11月のエリエールレディスオープンはエリエールゴルフクラブ松山で開催されました。

大会の1ラウンド終了後、クラブを除外する手続きを正しく行わなかったために、
アマチュアの叶選手が失格となったことがニュースでも取り上げられました。

叶選手は1番ホールからプレーし、2番ホール終了後に15本のクラブを持ってラウンドをスタートしたことを競技委員に告げました。

立ち会った競技委員は規則4.1c(1)に基づき、そのクラブをプレーから除外することと、
規則4.1bの違反により1番ホールと2番ホールのスコアにそれぞれ2罰打を加えるように告げました。

しかし、その組を担当していたスコアラーさんから詳しく説明を聞くと、
「競技委員要請は2番ホールのプレー中にしていたが、無線が繋がらなかった」と競技委員に告げました。

そこで委員会は、プレーヤーからより詳細を聞こうと18ホール終了後のアテストエリアで事情聴取をすることにしました。

そして分かったのは、叶選手が15本のクラブを持ってプレーしていたことに気付いたのは2番ホールのセカンドショット終了後で、
グリーン周りから打った3打目の後に競技委員を要請したことでした。

そして超過クラブをプレーから除外することなくそのままホールアウトしたのでした。

もしプレーヤーが2番ホール終了後に超過クラブの違反に気づいたのであれば、
合計4罰打の裁定は変わらずでしたが、気づいたのが2番ホールの2打目終了後となると裁定は変わります。

何故なら、規則4.1c(1)の「クラブをプレーから除外するための手続き」は、
次のストロークを行う前にとらなければならず、そうしなかった場合は失格となるからです。

プレーヤーが14本を超えるクラブを持っていて、規則4.1b(1)の「14本のクラブの制限」に違反したことに気付いた場合、
そのプレーヤーは規則4.1c(1)の手続きによって次のストロークを行う前にその超過クラブをプレーから除外しなければなりません。

ここのポイントは、「次のストロークを行う前に」です。

2023年より前の規則では「すぐに」という言葉が使われていましたが、
今はより明確になり、「次のストロークを行う前に」と変わりました。

規則4.1c(1)の違反の罰は重く、正しく行わないと失格になります。

それなので、もし競技のラウンド中に14本を超えるクラブを持ってラウンドをスタートしたことに気付いた場合、
除外するクラブをマーカーかその組の別のプレーヤーに告げる、もしくは他の何らかの明確な行動、
例えば、そのクラブをバッグに逆さまに入れることやゴルフカートの床に置く、別の人にクラブを渡すなどをするようにしましょう。

ルーリング要請をしていたからと言って何でも規則違反から保護されるわけではありません。

競技ゴルフに出場するプレーヤーは、自身を守るためにも絶対に知っておいて欲しいルールです。

2026.01.23

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コース上の霜

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

12月の第1週に行われたJLPGAファイナルクォリファイングトーナメントは、
宍戸ヒルズカントリークラブ東コースで開催されました。

104名の出場選手は4ラウンド(72ホール)の合計スコアで順位付けされ、来シーズンの出場権が決まります。

この時期の宍戸ヒルズの日の出は6時32分ごろ、日の入りは午後4時28分ごろとなり、
104名の選手を回すためにトップスタートは7:50に設定しました。

ところが、3日目は最低気温が3度を下回ることが予報されていたことから、霜が降りたり、コースが凍ることが心配されました。

その状態で一部の選手をスタートさせプレーすることは、
コースが溶けた状態でプレーするスタート時間の遅い選手と比べると不公平な状況です。

しかし、日没の時間を考えると霜や地面が溶けるまでスタートを遅らせる余裕はないため、
コース課さんはパッティンググリーンやティーイングエリアが凍らないように大きなシートを被せて下さいました。

そのシートのことを寒冷紗かんれいしゃと言います。

宍戸ヒルズのコース課さんは18ホール全てのグリーンに寒冷紗を被せて下さり、
練習グリーンやスタートの3ホールのティーイングエリアも同様にして下さいました。

3ラウンドの朝は、予報通り冷え込み、快晴だったことから放射冷却で霜が降りてしまい、
スタート予定の7:50はフェアウェイやグリーンが霜で真っ白になりました。

霜は地面に付着しており、一時的な水でもルースインペディメントでもありません。(定義:一時的な水、ルースインペディメント)

そのため、霜を取り除くことや罰なしの救済を受けることはできません。

フェアウェイやパッティンググリーンの霜をタオルや手で払い除き、
プレーの線やライを改善してしまうと規則8.1aの違反により一般の罰が課されます。

しかし、ティーイングエリアの霜は取り除いても罰はありません。(規則6.2b(3))

スタート前にキャディーさんから、
フェアウェイにある球に付着した霜を「ふーふー」と口を窄めて息を吹きかけることで溶かしても良いかと聞かれました。

これは、息を吹きかけることで霜が溶けたのであれば、認められていないのに球をふいたことになり1罰打となります。(規則14.1c)

また、息を吹きかけたことが原因で球が動けば1罰打です。(規則9.4b)

もし、1つの行為でこのように複数の違反があった場合、
ストロークなどの介在する出来事がないため、1罰打のみ課されることになります。(規則1.3c(4))

結局、3ラウンドはスタートを8:30まで遅らせ、霜がほとんど溶けた状態でプレーが始まり、
日没後にはなりましたが何とかその日のラウンドを終えることができました。

この時期のコースには霜が多いと思いますので、覚えて頂けますと幸いです。

2025.12.29

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貸しクラブでプロテスト受験

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

9月に行われたプロテスト第2次予選の3ラウンドでの出来事です。

あるプレーヤーが、ホテルからコースへ車で向かおうとしたところ、
車の鍵が見つからず、トランクにあるキャディーバッグや用具も取り出せないことでパニックとなりました。

JAFに電話したものの早朝で営業しておらず、スタート時間に遅れる訳には行かないということで、
車とキャディーバッグを諦め、タクシーを呼び、コースに電話をして「貸しクラブを一式貸してください」とお願いしました。

プレーヤーはスタート15分前にコースに到着し、
ショップでシューズ、キャップ、グローブ、球、ティーを購入して1番ホールへ向かいました。

そこで待機していたキャディーマスターは、貸しクラブ2セットを揃えたのですが、貸しクラブがかなり古いことを懸念して、
支配人のキャディーバッグとそのコースのキャディーさんのキャディーバッグも並べて、計5セットを用意しました。

プレーヤーはその中からキャディーさんのウッド数本と支配人のアイアンセットを選び、
そこに唯一ホテルの部屋まで持っていった自身のパターと合わせて計10本でラウンドを始めることにしました。

この時点でスタート1分前。

プレーヤーは借りたクラブを一度も練習場で打つことなくスタートすることになりました。

そこで放ったティーショットは見事フェアウェイを捉えて歩いて行きました。

その間、プレーヤーの父親は自宅からスペアキーを持ってホテルに停めてある車に向かっていました。

プレーヤーからドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、
そしてサンドウェッジの4本をそこから取ってコースに届けて欲しいとの連絡を受けていたのです。

そしてハーフターンの時にその4本を受け取り、キャディーバッグに追加して計14本で残りのハーフをプレーしました。

規則4.1b(1)の「14本のクラブの制限 ; ラウンド中のクラブの共有、追加または取り替え」には、
「プレーヤーが14本より少ないクラブを持ってラウンドをスタートした場合、
そのプレーヤーは14本のクラブの制限までラウンド中にクラブを追加することができる」
とあります。

この規則を知っていたプレーヤーは、スタート前にクラブを選ぶとき、
残りのハーフで自分のクラブを4本使えるよう敢えて10本だけ選んで行きました。

何故なら、スタート時に14本選んでしまっては、もう追加できず、
通常のプレーでクラブが損傷しない限り、取り替えもできないからです。(規則4.1a(2))

こんなハプニングがあったにも関わらず、プレーヤーはこの日見事1アンダーで回り、
最終日も好調をキープして無事にプロテスト第2次予選を合格しました。

ラウンド中にクラブの追加ができる規則を知っていたことで、冷静に本数を選び、ピンチを凌いだのはあっぱれです。

またプレーヤーの急な要望に対して、惜しみなくクラブを5セット用意したコースさんもナイスプレーでした。

2025.12.29

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フェースに黒テープを貼ったという記事

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

6月に掲載されたあるゴルフ記事が、その週の試合会場で話題となり、競技委員会の耳に入りました。

その記事には、あるプレーヤーがクラブフェースに黒テープを貼っているという内容でした。

しかし規則では、クラブフェースに如何なる物質も貼ってはならず、
貼ってあるクラブは不適合クラブとみなされます。

そのクラブでストロークをした場合は、規則4.1a(1)で失格となります。

これが事実ならば、これまでの大会でその不適合クラブでプレーを続けてきたことになり、
その事情聴取をしなければなりません。

そこでプレーヤー本人に伺ったところ、
そもそもインタビューを受けた覚えはなく、記事が出ていることやその内容も知らずにいました。

しかし記事には、あたかも本人が14本の使用クラブについて聞かれ、詳細に感想を述べています。

これはどういうことなのか、今度は記事の発行元に伺ったところ、
プレーヤーにインタビューはしておらず、担当のクラブメーカーさんから聞いた
「プレーヤーはこんなことを言っていた」内容をあたかも本人が喋ったように書いたとのことでした。

しかしクラブメーカーさんも、フェースにテープを貼ることは違反と知っており、
そのような加工を施した覚えはなく、またこの記事が出ることも知らずに困惑していました。

そこでプレーヤーのクラブを確認したところ、
実際にフェースに黒テープは貼っておらず、フェースの上部に黒マジックで描いてあるだけでした。

これは用具規則に適っているものの、クラブフェースに油性マジックで線や点を書き入れることについては
「すべきでない」とR&Aから見解が示されているほど、慎重に取り扱わなければならない事例です。

つまり記事の題名にある「フェースに黒テープを貼った」や
文中の「フェース面に黒テープのようなものが貼られている」という表記は、
読者に興味を引いてもらう目的で、事実から大きく逸脱して書かれ、ゴルフ規則を軽んじていることが分かりました。

このことを知り、関係者一同驚愕しました。

まずは本人へのインタビューがなされておらず、
本人の知らないところで記事が出ていること。

改めて内容を確認しますと、どう読んでもそうは取れません。

また記事にはプレーヤーとプレーヤーのクラブの画像が38枚載っていますが、
それは記事が掲載される2ヶ月前に撮ったもので、クラブにテープは貼られていないことが確認できました。

発行元は謝罪と共に、速やかにネットから記事を削除しました。

しかし一度世に出た記事は削除される前に既に多くの目に触れています。

また発行元が削除したとしても、
探せば他のホームページや動画に掲載されており、ネット上では半永久的に遺ります。

プレーヤーに至っては、自身の知らないところで、違反クラブを使用していると疑念を持たれる結果となりました。

またクラブメーカーさんは、違反クラブを作ってプレーヤーに使わせていると誤解され、
競技委員会は大会期間中に事情聴取や対応に迫られました。

ゴルフ規則に関わる内容を掲載するのであれば、
事実に基づき規則を熟知した上で書かなければならず、その責任は重大です。

残念ながら、これまでも過去の記事で、誤った内容や解釈が書かれていることがあり、懸念していました。

今回は内容があまりに事実とかけ離れているのでお話をさせて頂きました。

2025.12.29

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他のホールをプレーしてショートカット

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

ニトリレディスゴルフトーナメントの3ラウンド目での出来事です。

この日の16番パー5は、本来のヤーデージである545ヤードより80ヤード前にティーを出して、465ヤードにセッティングしました。

ほとんどのプレーヤーは、このティーならば16番ホールの左へドッグレッグしていくフェアウェイより、
左隣の15番ホールをプレーした方が、ホールまでの距離が短くなり、16番ホールにある2つの池もプレーに関係なくなると考え、
15番ホールのフェアウェイにめがけてティーショットしました。

これに驚いたギャラリーさんからは「そんなことしていいの?」や「危険じゃないの?」と言うコメントを耳にしました。

確かにイレギュラーではありますが、ギャラリーや15番ホールをプレー中の組の安全を配慮すれば、
16番ホールのプレーで、隣のホールのフェアウェイに打つことは、規則上問題はありません。

それは通常のプレーでも、大きくミスショットをした場合に、隣のホールに打ち込んでしまうことがあり、
これもホールとホールの間にラインOBなどの制限がなければあるがままプレーするのと同じです。

この15番ホールで組同士が交差する珍しい光景が続く中、面白いルーリングが幾つかありました。

この日はローカルルールでプリファードライが出ており、
球の一部がジェネラルエリアのフェアウェイの長さかそれ以下に刈られた部分に触れている場合、
元の球の箇所からホールに近づかないワンクラブレングス以内のジェネラルエリアで球をプレースすることができました。

そこでプレーヤーは「16番ホールをプレー中に、15番のフェアウェイに球があってもプリファードライの救済は受けられますか」
と聞いてきました。

これは委員会がローカルルールでそのような制限をしない限り、どのホールのフェアウェイに止まっていても救済することができます。

もうひとつのルーリングは、16番ホールをプレー中の球が15番ティー前のウォークパスに止まりました。

ウォークパスとはティーからフェアウェイの間にある道筋で、プレーヤーが歩きやすいようにラフより短めに刈られています。

プレーヤーに「ここからプリファードライの救済は受けられますか」と聞かれましたが、
ウォークパスの刈り高は20mmでフェアウェイの12mmより高かった為、「受けられません」と答えました。

このようにコースの芝の刈り高は、コースセッティングやメンテナンス作業には重要な情報で
競技委員会も周知していますが、プリファードライのローカルルールを適用する時は、
規則上でも必要な情報となります。

このイレギュラーなプレーは、プレーヤー達がより少ないスコアで上がるにはどうしたら良いかを考え、
機転を効かせてショートカットできる隣のホールをプレーするという選択をしました。

その結果、66人中7人がイーグル、41人がバーディーを取るなどして会場は大いに盛り上がりました。

2025.12.29

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

8月9日のルールザワールドで阿蘇さんが、グリーンのエッジからの救済について説明され、
ローカルルールひな型F-19を適用するとのことでした。

この場合、(球が)グリーン上にあるときは、規則16.1dで処置し、
ジェネラルエリアにある場合、規則16.1bで処置するとのことでした。

しかし、そもそも、この溝の中に入ったボールは、グリーン上のボールと判断しても良いでしょうか?
(グリーンに触れているので)

また、グリーン上のボールである場合、ホールに近づかないニヤレストポイントは、エッジの直ぐ外側になります。

この場合、パターで打つとエッジの縁にぶつかり、ボールが跳ねる可能性があります。

従って、ウェッジ等で打つと、溝の縁にリーディングエッジに当たり、大きくグリーンをえぐる可能性があります。

そこで、ボール1個程度ホールに近づくことを許容して、
最も近いグリーン上にプレースすることを可能とすることはできないでしょうか?

我々のプライベートコンペでは、この場合、ボール1個程度ホールに近づくことを許容して、
最も近いグリーン上にプレースすることにしていますが、これはルール違反でしょうか?

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

まず1つ目の「溝の中に入ったボールは、グリーン上のボールと判断しても良いでしょうか」
という質問ですが、これは可能です。

パッティンググリーンの定義を見ますと、
「パッティンググリーンの縁は特別に作られたエリアが始まると見て分かる所によって定める」とあります。

これは一般的に、パッティンググリーンの縁を示す為に、芝が短く刈られている所を指します。

しかしこれ以外に「委員会が違った方法でその縁を定めている場合」とあり、
例えば、委員会が切り溝をパッティンググリーンの縁と定めて、球がその切り溝に触れている場合、
その球はパッティンググリーン上にあるとすることができます。(定義:パッティンググリーン)

このように委員会が違った方法で縁を定める場合は、ローカルルールに記載しなければなりません。

このローカルルールが無ければ、パッティンググリーンとして短く刈られた部分が縁と定められ、切り溝は関係なくなります。

何故なら通常、切り溝はグリーンとカラーの境に沿って入れられますが、
よく見ると境から左右にはみ出していることもあり、また切り溝を入れた後のグリーン刈りが溝からはみ出ることがあるからです。

余談になりますが、JLPGAではグリーンとカラーの境が分かりづらいときは、緑点を付けて明確化しており、
これはハードカードに記載されています。

ただし、過去に切り溝をパッティンググリーンの縁として定めたことはありません。

何故なら、明らかに芝が短く刈られたグリーンと見られるエリアが切り溝の外側にある場合、
プレーヤーは誤ってその球をマークして拾い上げる可能性があり、その場合は1罰打を課さなければならないからです。

このローカルルールを適用するか否かは、切り溝の救済のことだけでなく、
それ以外に起こりうるあらゆる問題も考慮した上で、慎重に決めなければなりません。

2つ目の質問の「ボール1個程度ホールに近づくことを許容してよいか」ということですが、
どのような理由であれ、これはできません。

もし不利な状況になるということであれば、救済をせずにあるがままにプレーする選択肢があります。

また「切り溝の外にある球をパターで打つとエッジの縁に当たり、ボールが跳ねる可能性がある」とありますが、
それはよほど溝の幅が広くないとそうはならないと想像しますし、
たとえ跳ねたとしてもプレーの線上にある切り溝からの救済はありません。

球が跳ねる可能性があるのは、その球が溝にあってストロークした場合に多く、その為に罰なしでこの救済が認められています。

またプレーヤーが救済した球をウェッジでストロークする際に、意図するスイングがこの溝に当たるというのであれば、
その救済箇所は誤りであり、溝に当たらない救済のニヤレストポイントを正しく取らなければなりません。

その場合、救済箇所はより後ろになる可能性がありますし、もしかしたらホールに近づかない横になるかもしれません。

ご参考になれば幸いです。

2025.11.26

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ソニー選手権の日没サスペンデット

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

9月に行われたソニー日本女子プロゴルフ選手権大会は大洗ゴルフ倶楽部で開催されました。

132名の出場選手を回すために午前の部と午後の部に分け、
トップは6:20、最終組は12:45にスタートしました。

1Rは雷のため中断となり、サスペンスデットになりました。

1Rを2日目の6:57分にプレーを再開して8:43に終了。

2Rは7:30にスタートしてそのまま、
サスペンデットになった選手は1R終了の約40分後に2Rをスタートしてこの日は18ホール以上プレーすることになりました。

2Rの午後スタートの最終組は13:55だったため、
17:51の日没だとラウンドが終わらない計算になり、日没サスペンデットはほぼ決定していました。

それでも、3日目に2Rを残したくない選手達は脅威のスピードでプレーし、
結果的に残った組はアウト上がりが2組と1人、イン上がりが1組だけでした。

17:43に日没のため、通常の中断のエアホンを鳴らしたとき、
9番グリーンでプレーしていた組のうち2人の選手はホールアウトしてラウンドを終えましたが、
1人はカットラインの+3におり、24ヤードの大事なバーディーパットを残していたため、
プレーを中断することを決めました。(規則5.7b)

その時、セカンド地点にいた後続組は、ホールアウトすることを選び、組の終了する順番が入れ替わることになりました。

通常の中断の場合、その組の選手が1人でもホールをスタートしていたら、
プレーを中断するか、そのホールを終了するか選択することができます。(規則5.7b(2))

プレーを中断することを選んだ1人のカットラインにいた選手は、
マーカーの署名をして他の2人の選手がスコアカードを提出できるようにしました。

担当だった私は、残された彼女のパットをマーカーとして付き添うことになり、
17ホールマーカーしてくれた選手からサインをもらい、そのスコアカードを預かることになりました。

そうすることでマーカーの選手は翌朝プレーを再開するときに現場にいなくても良いことになりました。

3日目の朝、2Rは7:24分にプレーが再開されました。

その再開前の1時間前にその選手のキャディーが練習グリーンで練習器具を使用してパットの練習をして良いかと尋ねてきました。

この場合、問題はありません。

プレーの中断中は委員会が認める指定練習グリーンや打撃練習場で練習して、練習器具を使用しても良いですし、
アドバイスを受けても問題ありません。

それは、規則5.7aに基づくプレーの中断中は
ラウンドの途中ではあってもラウンドをプレーしていることにはならないからです。(規則5.1)

その選手は、7:24分の再開前に9番グリーンに来て一生懸命プレーのラインを読んでいました。

再開のエアホンが鳴った後、意を決したように打ったロングパットはホールに入り、
朝早くから観戦にいらしたお客様は優勝パットかのような盛大な拍手を送っていました。

その選手は+2で見事予選通過し、私はアテストエリアでスコアカードにマーカーとして署名した際に、
彼女が再開前の1時間ずっと24ヤードのパター練習をしていたことを知りました。

あっぱれです。

2025.11.26

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「教えて!Nory」

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

お世話になります。

ダブルノーリー、タケさん、いつもこのコーナーで学ばせてもらっています。

先日の競技でわからないことが起きたので教えてください。

同伴者からもメールが来ているかもしれませんが、よろしくお願い致します。

同伴者がセカンドショットを左方向に打ってしまい、
ボールは違うホールのティーエリア近く、保護ネットがあってカート道も近い、刈っていない深いラフに。

自分は25ヤードほど前を見ていたのですが、他の人にニヤレストなどを確認してボールをドロップ。

クラブを取りに行ってから、ボール近くで素振りを。

2度目ぐらいの素振りの時にラフにあった違うボール(ロストボール)を打ってしまいました。

本人は「見えなかった。知らなかった。打つ意思は無かった」と言っています。

ペナルティーは付くのでしょうか?

その日はノーペナでスコア登録しました。

【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、ペナルティーはありません。

球を打つ意思のない練習スイングを行っているときに隠れているロストボールにクラブが当たったとしても
練習とはみなされません。(規則5.5a)

それなので、同伴プレーヤーの「見えなかった。知らなかった。打つ意思は無かった」という主張は
裁定するにはとても重要なポイントになります。

反対に、打つ意思を持って見えているロストボールを打ってしまうと、
規則5.5の違反による一般の罰がそのホールに課されます。

ホールとホールの間に起きた出来事の場合は次のホールに適用されます。

別のケースですが、今年のソニー日本女子プロゴルフ選手権大会の最終日、
16番ホールで、優勝した金澤選手はレフェリーを呼んで何かを確認した姿がテレビに映っていました。

実は、彼女がラフで素振りをしているときに偶然にも松ぼっくりを打ってしまい、
練習ストロークとしてペナルティーが課されるのか確認していました。

そもそも松ぼっくりをクラブで打つこと自体練習ストロークではありませんので(詳説5.5a/1)、
偶然にクラブが松ぼっくりに当たっても罰はありません。

仮に、偶然に打ってしまったロストボールや松ぼっくりがインプレーの球を動かす原因となった場合は
インプレーの球を動かした1罰打(規則9.4b)が課され、元の箇所にその球をリプレースしなければなりません。

ご参考にして頂けますと幸いです。

2025.11.26

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木の上に球が止まってからプレーの中断となる

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

ソニー日本女子プロゴルフ選手権は大洗ゴルフ倶楽部で開催されました。

ここは松の木が多く、ショットを曲げると球が木の枝に止まってしまうことがあります。

1ラウンド目の8番ホール(パー3)では、プレーヤーのティーショットがパッティンググリーン右の松の枝に止まり、
その直後に雷の為、即時中断のエアホンが鳴りました。

この時、球らしき物が枝に止まっていることは確認できたのですが、
プレーヤーはここで球の捜索をすべきか止めるべきかを悩んでいました。

何故なら、ここで球の捜索を続けて、その間に自分の球だと確認できた場合、
翌朝にプレーの再開をするとき、たとえ夜の間に風で球が地面に落ちていたとしても
木の枝に止まっていた場所にあったものとしてプレーを続けなければならないからです。(規則5.7d(2))

これが、球の確認を行っていなかった場合、翌朝の捜索時間内にプレーヤーの球が木の下のラフで発見されれば、
そこからプレーを続けることになります。(規則18.2a)

ちなみに、球の捜索はプレーの中断となっても行うことができ、捜索を打ち切らない限り3分間の時計は止まりません。

そのため、3分間の捜索時間が終了した時に球が見つからなければ、
プレーの中断中であっても、その球は紛失となります。(詳説18.2a(1)/1)

一見、すぐに球を確認しない選択肢の方がお得な感じがするかもしれませんが、リスクも伴います。

それは、翌朝のプレー再開前に球が木の枝の上にも木の下のラフにもない場合、
プレーヤーの球は紛失球となり、ストロークと距離の救済が唯一の選択肢になります。

そのため、アンプレヤブルの球の選択肢はなくなります。

結果的にこの選手は、プレーの中断のときに球の捜索を止め、翌朝まで待ちました。

すると、捜索を始めてからプレーヤーの球らしきものが木の枝の上にすぐに見つかり、
ペットボトルを投げてその球を落とそうとしましたが、結局、捜索時間内には確認することはできませんでした。

プレーヤーはストロークと距離の1罰打のもと、ティーイングエリアに戻ってプレーを再開することになりました。

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