2025.01.26
Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド
正しい処置に対する疑問
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
昨年の1次プロテストE地区のエリエールゴルフクラブ松山での出来事です。
あるプレーヤーは6番ホールのパー4でセカンドショットをラフから打ったところ、
OBの方向に行ったので暫定球をプレーしました。
本来ならば球を救済エリアにドロップして打たなければならないところプレースして打ちました。
そして、パッティンググリーンに到着したときに同伴プレーヤーに
「暫定球をプレーする場合、球はプレースではなくドロップしてからプレーしないといけないんだよ」
と指摘されたため、そのプレーヤーは誤りを訂正しなければならないと勘違いし、
セカンド地点へ戻って、別の球をドロップして打ち直しをしました。
そして、再びグリーン近くに到着したときにようやくルーリングを要請しました。
そのプレーヤーは、
「プレースして打ってきた元の球を拾い上げても良いか」
と質問をしたところ、現場に現れたレフェリーは
「プレースして打ってきた球はもはやインプレーの球ではないので拾い上げても良い」と回答しました。
このケースでは、元の球がインバウンズにあれば罰なしにその球でプレーを続けることができました。
しかし、元の球はOBだったので暫定球がインプレーの球となります。(規則18.3)
ところが、プレーヤーがその球を救済エリアにドロップせずにプレースしてストロークを行ったことで、
規則14.3の処置違反で一般の罰(2罰打)が課されます。
この処置に重大な違反はないため、そのままホールアウトすれば良かったのですが、
更に打ち直しをしてしまったことで、改めてドロップした球がインプレーの球となり、
プレースして打った球はアウトオブプレーとなります。
つまりストロークと距離の1罰打を加えて、
その球でホールアウトしなければいけないことになりました。
その球はパッティンググリーン手前のラフに止まり、
そこからアプローチして1パットでホールアウトしたため、
スコアは10となってしまいました。
規則では、
プレーヤーが適用しない手続きで球をプレースした場合でも
インプレーの球となります。(規則6.3b(2))
また、その救済処置の誤りを罰なしに訂正することができるのは、
その球をプレーする前のみです。(規則14.5)
もしプレーしてしまった場合は、2罰打を加えて誤ってインプレーにした球でホールアウトしなくてはなりません。
ラウンド中、正しい処置への疑問が生じた場合、すぐにレフェリーを呼ぶことをお勧めします。
1ストロークで予選を通過したり落ちたりするゴルフ競技では自身のプレーを守る術として、
暫定球の正しい処置は覚えておきましょう。