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2024.11.07

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

アンプレヤブルとみなした後の暫定球の扱い
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

プレーヤーがティーショットを右の林の方へ打ってしまい、
紛失の恐れがあるとして暫定球をプレーしました。
2打目地点に行くと、プレーヤーは初めの球を見つけたものの、
ブッシュの中に深く潜った状態でそのままプレーできる状態ではありません。

そこでアンプレヤブルとみなしてラテラル救済や後方線上の救済を試みるのですが、
ブッシュは広範囲にあり、2クラブレングス離れたところでドロップしても打てない状況は変わらず。
また球の後方線上はOBの近くで良い選択肢とは言えません。

そこで最後の残る選択肢は、
ティーに戻って1罰打でストロークと距離の救済を受けることになります。

このようなルーリングがあるとき、
選手に「暫定球でプレーを続けていいですか」と聞かれることがあります。
残念ながら、今のゴルフ規則ではせっかく打った暫定球は放棄しなければなりません。(規則 18.3c(3))
そしてこれは2023年2月にセントアンドリュースで開催されたゴルフ規則会議でも議題に挙がり、かなりの議論になりました。

会議の詳細は2023年4月1日の記事にありますので、ご興味のある方は読んで頂ければと思います。

この会議では、2027年の規則改定に向けて100の変更案を出し合い、最終的に11の候補が残り、
その中の一つが「初めの球がアンプレヤブルとなり、ストロークと距離の救済しか選択肢がない場合、
暫定球をプレーしていればその暫定球でプレーを続けることができるようにすべき」という案でした。

そして多くの議論を重ねたあとの最終投票では、賛成票が反対票を僅かに上回る結果となりました。
賛成とする大きな理由として、元の位置に戻ってプレーし直す必要がなく、プレーのペースが大幅に改善されることです。
また多くのプレーヤーは、既に暫定球を打っているのに、何故その球でプレーを続けられないのかと疑問に思うものです。

それに対する反対意見は、仮にその暫定球がミスショットだった場合、
プレーヤーはストロークと距離の救済の球の結果を既に知っている為、
無理してでも他の選択肢であるラテラル救済や後方線上の救済を選ぶ可能性があるという点です。

このように1つの選択肢の結果が分かってしまっているが故、
他の選択肢と比較して良い方を選べてしまうのは果たしてフェアなのかが論点となりました。

また、もし初めの球をプレーしたくないのであれば、「暫定球」と宣言せずにティーショットをすれば、
初めの球はアウトオブプレーとなり、2球目でプレーを続けることができます。
プレーヤーはいつでもストロークと距離の救済が認められます。
(規則 18.1)

また暫定球というのは、初めの球がOBかペナルティーエリア以外で紛失の恐れがある場合のみ、
暫定的にプレーが認められる球であり、それ以外に暫定球の使用を認めてしまうと、
定義から見直さないといけなくなります。

私自身、この案が出たときは賛成でしたが、色々と議論をしていく中で反対に転じました。
今後はR&AやUSGAが主体となって議論を重ねていくと思いますが、いずれ改定となるか否か、とても興味深いです。

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