2024.11.07
Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド
- 動物の蹄による損傷
- 解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
10月1週目に行われたスタンレーレディスホンダゴルフトーナメントは東名カントリークラブで開催されました。
佐藤心結選手の初優勝で大きな話題になりましたが、
その他にもニュースに取り上げられたのがコースに多数生息する鹿です。
ギャラリー用のロープ内に入り込み静かに観戦する鹿はとても可愛いですが、
何かの拍子に驚かせてしまうと凄い勢いでコース内を走り回り、
パッティンググリーンやフェアウェイ、バンカーなどを傷つけてしまいます。
このような損傷は、パッティンググリーン上では修理できますが(規則13.1)、
他のコース上ではできません。
また、コース上にある単独の動物の足跡や蹄の跡は動物の穴ではありませんので、
プレーヤーは自動的に救済を受けることもできません。(定義:動物の穴)
もし、委員会が鹿の蹄による全ての損傷区域をマーキングすることなく修理地として定め、
プレーヤーに救済を認めたい場合はローカルルールF-13の「動物の蹄による損傷」を採用することができます。
このローカルルールを適用することで、
バンカー内に深くできてしまった鹿の蹄跡やフェアウェイが蹄によって傷ついた区域が
プレーヤーのスタンス、スイング、または球の障害になっている場合、
規則16.1に基づいて救済を受けることができます。
パッティンググリーン上ではそうした損傷は修理することができるため、
委員会は規則16.1に基づいた救済を認めないことを選択することもできます。
つまり、球がパッティンググリーン上にあり蹄跡がプレーの線上にあっても救済はなく、蹄跡の修理に限られます。
東名カントリークラブは鹿による損傷が少なかったため、
このローカルルールは採用しませんでしたが、
10番グリーン付近に現れた鹿を森の中に追っ払っていた私を見たプレーヤーが
バンカーやフェアウェイにある鹿の蹄による損傷から救済は認められるのかを確認されました。
答えはノーでしたが、あまりにも酷い損傷がある場合は競技委員を要請してくださいとお伝えしました。
なぜなら、
委員会は競技中でも修理地としてマーキングされていない区域を修理地と定める権限を持っている
からです。
一般的に、地面の状態がそのコースにとって異常であったり、
特定の区域からプレーすることをプレーヤーに求めることが合理的ではない場合、
その場所を修理地としてマーキングします。(一般的なプレーのためのコースマーキング2F(1))
コースはあるがままにプレーすることがゴルフの原則ですが、
競技期間中ではコースの状況が変わることもあります。
例えば鹿の蹄跡や多くのギャラリーがぬかるんだコースを歩いた跡など、
フェアなプレーをするための妨げになることは
適切なコースマーキングと追加ローカルルールを採用することでプレーヤーに救済を認めています。