2024.06.11
Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド
18歳ルーキーが詳細なヤーデージブック使用で失格
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
アクサレディス in Miyazakiの2日目での出来事です。
5番ティーでルーリング要請があったので、競技委員が向かったところ、
プレーヤーは使用してはならない以前のヤーデージブックを
初日から使っていたことが判明して失格となりました。
JLPGAツアーは、今季から
「グリーンリーディング資料の制限」のローカルルールを適用しており、
委員会が承認したヤーデージブック以外は使用できないルールを設けたばかりでした。
この制限は1月6日の「コリン・モリカワ選手が手書きメモで2罰打」で解説しています。
今回はこのローカルルールが
R&Aより発表されてからJLPGAツアーが採用するまでの経緯を説明します。
「グリーンリーディング資料の制限」は、2022年1月1日に新しく出来たローカルルールで、
プロの競技やハイレベルなアマチュア競技だけを対象としています。(ローカルルールひな型G-11)
該当する各ゴルフ団体は、
このローカルルールを採り入れるか否かを選択するのですが、
2022年にR&AとUSGAは適用を決め、USLPGAとJLPGAは見送りました。
主だったプロツアー団体が見送った為、
2022年6月開催の全米女子オープンは、参戦したほとんどのプレーヤーとキャディーが、
このローカルルールを知らないまま当週を迎えることになりました。
その為、USGAの担当レフェリーは指定練習日に、
ラウンド中の全156選手とそのキャディーを捕まえては口頭で説明することになりました。
あまりに大変な作業の為、その中で英語を話さない十数名の日本人選手とキャディーは、
私がコースを回りながら説明をしました。
その翌年の2023年にUSLPGAは採用を決め、JLPGAも足並みを揃えるべく今年採用に至りました。
しかし採用すると言っても、
単にハードカードにこのローカルルールの文言を入れるだけではありません。
そのための準備や問題点を議論するために、
1月に既に運用しているJGTOの競技委員の方々に集まって頂き勉強会を開きました。
またJGTO競技委員会が作成した12頁に及ぶ資料を基に、JLPGAのガイドラインを作成して、
日本語版と英語版を事前に大会関係者、選手、キャディーに提供しました。
これはJLPGAツアーの試合会場にも毎週掲載しています。
またこのローカルルールに限らず、
2024年のJLPGAハードカードを分かり易く理解してもらうために、
22個ある全てのローカルルールと競技の条件を13分間の動画で紹介しています。
これも日本語版と英語版の両方を作成しており、英語版は中﨑さんがナレーションを務めています。
この動画はLPGA MyPageでいつでもアクセスできますが、
ハードカードを動画にしているゴルフ団体を他に知りません。
更に開幕の試合では、選手とキャディー向けに説明会を開いて、
競技委員長からルールの変更点や新たに適用されるローカルルールを口頭で説明します。
それでも尚、失格者が出たのは残念でなりません。
プレーヤーは競技に出る以上、ローカルルールを含めてゴルフ規則を知る責任があります。
また、委員会は特定の規則を採用することでそれを周知する義務を負います。
それ故、委員会が作成したハードカード、ガイドライン、動画などを利用して頂ければと思います。