2024.06.24
Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド
TV塔を設営する位置
解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
今季開催された大会での出来事です、
18番ホールは485ヤード(パー5)で、グリーン右手前に池があります。
風がアゲンストでなければ多くの選手はツーオン狙いをするホールなのですが、
右に池があることにより、グリーンを直接狙わずにその左側を狙ったり、
フェード打ちの選手はグリーンを狙うにしても、飛球線は左からになります。
そこで問題となったのはサード地点左側に設営されたテレビ塔です。
練習ラウンドを終えた何人かの選手が、
「このTV塔がちょうど狙い目で打てない。実際狙ってTV塔に当たった場合は、
罰なしの救済はあるのか」と訊ねてきたのです。
選手の一人は、
「今まで左のTV塔は全く気にならなかった。これまでと違う位置に建っている」と言いました。
そこで委員会は過去の大会の映像をチェックしたところ、
確かにこれまで設営されていた場所から30ヤード右後方のFW側に移動していた事が分かりました。
本来、テレビ塔やリーダーズボードなどの設営物は、建てる位置が細かく決められており、
これまでと同じ位置に建てると約束した場合は、まさにその位置になければいけません。
ところが今回は本来の位置からだいぶ離れた場所に設営され、しかもかなり高いTV塔であった為、
すぐに撤去することはできないとのことで、そのままの状態で競技を始めることになりました。
そして予期していたとおり、18番ホールのセカンド地点でルーリングがありました。
ティーショットを左のラフに打った選手から、
「あのTV塔に当たった場合、罰なしの再プレーにならないのか」と質問されました。
TV塔など臨時の動かせない障害物は、
球が当たったらあるがままでプレーしなければいけません。
またこれらの設営物は、介在の救済を受けられる場合がありますが、
それはホールからTV塔の右端を結んだ線に対して
球が1クラブレングス以内にないと受けられません。
(ローカルルールひな型F-23)
不運にも、その球は救済できる位置になかった為、そのままプレーするしかありませんでした。
するとそのプレーヤーは、「あのTV塔はコース上にある木と同じということですね」と言い、
TV塔を気にしたままストロークした球は、グリーン右手前の池に入ってしまいました。
またある選手は、TV塔の位置が気になるということで
初めからツーオン狙いを諦め、刻んでプレーしていました。
近年、JLPGAのプレーヤーは飛距離やプレーのスケールが大きく変わってきています。
一見、何の問題もない位置に設営したと思われるTV塔でも、
ティーショットの飛距離が300ヤード近く出る選手には障害となることがあります。
興行面から考えますと、TV放映やギャラリー観戦のために設営物を建てることは重要ですが、
あくまで競技を優先してプレーに支障がないようにしなければなりません。