お問い合わせ

ウミトソラノシルス

2025.04.28

Green Jacket 楽天GORA presents タケ小山のルールザワールド

2028年から適用される新たな球の規格

解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

シーズンオフに行われた勉強会でゴルフ用具に関する講習がありました。

その中で、2028年に導入される新たな球の規格について触れたので、皆様にも共有したいと思います。

この規則は2023年発表当初、2028年からローカルルールとして導入されるとのことでしたが、
現在は一般のゴルフ規則として導入されると決定しました。

しかし一般アマチュアについては2年間の猶予期間があり、2030年1月1日から適用となります。

それ以外のプロ競技やエリートレベルのアマチュア競技では、
2028年1月1日から修正された標準総合距離(ODS)のテストをクリアした適合球を使用しなければ違反となります。

新たな球の規格とは、現在使用されている球よりも”飛ばない球”を適合球として定めることです。

飛ばないと言っても、その差はプレーヤーのヘッドスピードと飛距離によって変わります。

例えば、ドライバーショットでは一般のアマチュアで5y以内、女子プロで5~7y、
男子プロで9~11y、最も飛ぶプレーヤーは13~15yとされています。

では何故、この改訂が必要なのか。

それは、近年のプレーヤーの飛距離が著しく伸び続けていることで、コースが対応しきれなくなっているのが主な原因です。

特に男子ツアーではドライバーで300yを軽く超える選手が増え、
パー4でのセカンドショットはショートアイアンばかりで、本来のゴルフゲームの挑戦の要素が薄れてしまいました。

またパー5では2打で届いてしまうため、ツーオン待ちが長くなりプレーのペースにも影響が出ています。

これらを改善するためにはコースを長くするしかなく、それには土地や改修工事のコスト、
更に芝のメンテナンスや水もより必要となります。

しかし多くのコースでは、そのような改修は現実的でなく、環境問題にも繋がるので、
問題解決の一助として、R&AとUSGAは球によって達成される距離への制限に着目しました。

男子プロは、1980年代から現在までの飛距離を比較すると約40ヤード、
つまり1年で約1ヤードずつ伸びているというデータがあります。

これはPGAツアーの男子プロのロングヒッターから得たデータであり、
今後何も手立てをしなければこのペースで伸び続けると予測しています。

この改訂はその伸びを緩やかにすることで、今あるコースを改修することなくプレーできることを期待しています。

この新たな球の規格とは、クラブヘッドスピードが125mph(55.5m/秒)と打ち出し角11度、
バックスピンが毎分2220回転でテストしたときに、球の標準総合距離(ODS)の制限が317ヤード(+3ヤードの許容誤差)、
つまり320ヤード以内であれば適合球とされます。

このクラブヘッドスピードの125mph(55.5m/秒)と定めた理由は、
2023年のPGAツアーのロングヒッターの上位25選手のボールスピードの平均が183mph(81.3m/秒)で、
そのボールスピードを出すには125mph(55.5m/秒)のクラブヘッドスピードとのことです。

現在の球の規格のクラブヘッドスピードが120mph(53.3m/秒)と打ちだし角10度、
バックスピンが毎分2520回転で320ヤード以内と比較すると、数値上、制限が厳しくなっているのが分かります。

適合球と認められた球は、2028年1月から適合球リストに掲載され、
適合球であると分かるための識別マークを付けることが検討されています。

topへもどる